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» 2015年08月27日 15時00分 UPDATE

太陽光:「次世代太陽電池はなぜ劣化が早いのか」原子レベルの理論計算で解明 (1/2)

物質・材料研究機構は、次世代太陽電池として注目されている「ペロブスカイト太陽電池」の実用化に対し課題とされていた「劣化問題」と「変換効率の再現性」の問題が、陽イオン分子の拡散の影響を受けていることを理論計算で証明した。

[三島一孝,スマートジャパン]

 太陽電池は再生可能エネルギーの主軸として普及が進んでいる。しかし、固定買取価格の低減などが進む中、行政などの支援なしに収益が得られるような発電効率やコストパフォーマンスが求められている状況だ。技術的なブレイクスルーが必要となる中、次世代太陽電池の1つのとして注目を集めているのが、「ペロブスカイト太陽電池」である。

 ペロブスカイト太陽電池における「ペロブスカイト」は結晶構造の一種で、灰チタン石(ペロブスカイト)と同様の構造体を指す(図1)。

photo 図1 (上)がペロブスカイト太陽電池の概略図。(中)はペロブスカイト構造の各イオンサイト。(下)がペロブスカイト太陽電池材料の代表的な物質で今回の研究で解析したCH3NH3PbI3と(NH22CHPbI3の模式図。紫色がヨウ化物イオン(I)、分子状のものがメチルアンモニウムイオン(MA)、ホルムアミジニウムイオン(FA)、黒い八面体がPbI6ユニット 出典:JST

 ペロブスカイト太陽電池は、塗布などの低温溶液プロセスで簡単に作製できること、高い光吸収能力を示し、かつ大きな短絡電流と高い開放電圧が得られることから、安価で高効率な次世代太陽電池として期待されている。

劣化は早いが原理が分からない

 しかし、劣化が非常に早く耐久性が低いことが大きな課題となっている。さらに「電流−電圧曲線」に大きなヒステリシス(電圧掃引方向や掃引回数によって曲線にずれが生じる現象)が現れることが多く、電圧のかけ方によって変換効率が変化する問題もあり、変換換率の信頼性にも問題を抱えていた。これらはペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた大きな障害となっている。

 ただ、ペロブスカイト太陽電池は作製方法と耐久性・安定性の関係などは判明しているものの、原子レベルでのメカニズムが明らかになっていない。そのため、各研究者の直感的に頼った研究となっており、システム的に改善が進められない状況だった。今回の研究は、その明らかにされていないメカニズムの解明に迫るものとなる。

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