パナソニックの太陽電池は世界に勝てるか、ソーラーカー世界大会の出場校を支援電気自動車

ソーラーカーで約3000キロメートルの走破を目指す世界最大級のレース「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ 2015」が2015年10月にオーストラリアで開催される。パナソニックは同大会に出場する東海大学チームとスポンサー契約を結び、同社の太陽光関連製品を提供する。

» 2015年09月01日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 パナソニックはこのほど2015年10月18〜25日の8日間オーストラリアで開催される世界最大級のソーラーカーレース「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC)2015」に参加する東海大学ソーラーカーチームとスポンサー契約を結んだと発表した(図1)。同社の太陽光関連製品を提供し、チームを支援する。

図1 東海大学ソーラーカーチーム 出典:パナソニック

 パナソニックは2011年から発電量トップクラスの太陽電池モジュール「HIT」と、高容量リチウムイオン電池の提供などを通じて同チームの支援を行ってきた。HITは結晶シリコン基板とアモルファスシリコン薄膜を組み合わせた独自のヘテロ接合型太陽電池を用いており、一般的な結晶シリコン系モジュールと比較して高温時の出力低下が少なく、単位面積当たりの発電量はトップクラスを誇っている。

 WSC2015のレギュレーションでは、ソーラーカーへの太陽電池の搭載面積が最大6平方メートルと限られていることに加え、オーストラリアの強い日射により太陽電池は高温になる。そのため、高温に強い特性を持ち、単位面積当たりの発電量が多いHITはカーソーラーレースに適しているといえる。今回提供する太陽電池モジュールは、ソーラーカー用に特別に設計・製造されたものだが、発電の中核となる太陽電池セルは専用品ではなく、基本的に住宅向けの量産品を使用している。

 またリチウムイオン電池は独自のニッケル系正極材を採用した業界最高レベルのエネルギー密度を実現した円筒形18650サイズ(直径18ミリ、高さ65ミリ)を用いた。HITで発電した電気をより多く充電し、曇天などの日射量が少ない場合でも長時間の走行が行えるようにする。

 1987年から開催(1999年より隔年開催)されているWSCは、オーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまでの約3000キロメートルをソーラーカーで縦断しタイムを競う。2015年は大学や企業をはじめ世界25カ国から総勢46チームが参加する予定だ。

 パナソニックが支援する東海大学チャレンジセンターライトパワープロジェクトのソーラーカーチームは、これまで2009年、2011年のWSCで優勝するなど、世界大会での多くの実績を持つソーラーカーチーム。2015年8月27日には東海大学で今回のレースに使用される新型ソーラーカーを発表した(図2)。

図2 パナソニック太陽電池モジュール「HIT」とリチウムイオン電池を搭載した東海大学の新型ソーラーカー 出典:パナソニック

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