沖縄県で初めて可倒式の風力発電設備を導入したのは波照間島である。2009年に発電能力245kWの設備2基を導入した。この風力発電で島内の電力の20%をカバーできる。新たに1.5MWの太陽光発電設備を建設して、再生可能エネルギーの比率を75%まで高める計画だ(図5)。
太陽光発電と風力発電は天候によって出力が変動することから、電力を安定して供給できるシステムが欠かせない。波照間島では6年前に可倒式の風力発電設備を導入した時に、合わせてフライホイール装置を組み込んだ電力安定化システムを稼働させている。
フライホイール装置は蓄電システムの一種で、電力を使って円盤(フライホイール)を回転させることによって運動エネルギーに変えることができる。この方法で蓄電しながら、必要に応じてフライホイールで発電機を回して電力を送り出す。
波照間島の可倒式風力発電設備には出力が30kWのフライホイール8基を導入した。風力発電の最大出力に対して約2分の1の対応力がある。風力発電の出力が大きく変動した場合でも、変動分の多くをフライホイールで吸収することが可能だ。島内の主力電源であるディーゼル発電機の電力と組み合わせて、変動の小さい安定した電力を島内に供給する(図6)。
さらに2015年2月には容量の大きい蓄電システムを追加した。合計500個の鉛蓄電池を使って1500kWh(キロワット時)の電力を充電・放電することができる(図7)。一般家庭が1日に使用する電力量(平均10kWh)に換算すると150世帯分になる。波照間島の総世帯数(275世帯)の5割以上に相当する。
この蓄電システムに島内の太陽光発電と風力発電による電力を蓄電しながら、安定した出力で送電網に電力を供給することができる。1.5MWのメガソーラーが運転を開始しても十分に対応できる見通しだ。
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