水素社会を目指す国家戦略が前進、燃料電池車を2030年に80万台へ蓄電・発電機器(1/4 ページ)

政府が「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を改訂した。新たに燃料電池車の導入目標を設定して2030年に80万台の普及を目指す。合わせて水素ステーションを2025年度までに320カ所へ拡大する方針だ。再生可能エネルギーから水素を製造する技術についても2016年度内に具体策の検討に入る。

» 2016年03月24日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 経済産業省は2014年6月に初めて策定した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を改訂して3月22日に公表した。この戦略ロードマップは日本が世界をリードする水素・燃料電池分野の先端技術を生かして、CO2(二酸化炭素)の排出量が少ないエネルギーの利用を促進するのと同時に、新たな産業の創出を含めて国全体を水素社会へ発展させる壮大な構想をまとめたものである。

 戦略ロードマップは3つのフェーズに分けて作られている(図1)。フェーズ1では家庭と企業の双方に自家発電設備として燃料電池を普及させながら、それと並行してガソリン車に代わる燃料電池車を飛躍的に増やしてCO2排出量を削減する狙いだ。

図1 水素社会の実現に向けた3段階の実行フェーズと到達目標(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 続くフェーズ2では2030年をめどに水素発電を実用化するために、海外から調達する水素の価格低下と発電技術の高効率化を推進していく。そのうえでフェーズ3では再生可能エネルギーを中心にCO2フリーの水素を大量に製造して、全国レベルで輸送・貯蔵できるサプライチェーンを2040年までに整備する。

 当初の戦略ロードマップには数値目標が少なかったが、改訂版ではフェーズ1で実現する家庭向け燃料電池のエネファームの価格目標を設定したほか、燃料電池車と水素ステーションの普及目標を具体的な数値で掲げたことが最大の注目ポイントだ(図2)。

図2 「水素・燃料電池戦略ロードマップ」の改訂ポイント。出典:資源エネルギー庁
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