発電の敵が大好物、除草を羊とヤギに頼むメガソーラー太陽光

植物が生い茂り、太陽光パネルの上に影ができると発電量が落ちてしまう。太陽光発電所の運用保守においては除草作業も重要になるが、人手による作業コストはばかにならない。SBエナジーと三井物産などの4社は、鳥取県のメガソーラーでこうした除草作業をヤギや羊に任せてしまう実証試験を進めている。

» 2016年05月27日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 SBエナジーと三井物産、および両社が設立した特別目的会社の鳥取米子ソーラーパーク、鳥取県米子市で建設業などを行う大協組の4社は、「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」(以下、鳥取米子ソーラーパーク)内で、羊とヤギによる除草試験を開始した。

 鳥取米子ソーラーパークは「Aサイト」と「Bサイト」の2つのエリアで構成している。今回の羊とヤギによる除草試験は、Bサイト内の「B-2」区域全体と外周部分を合わせた約7万2000平方メートルの敷地で行う。羊4頭、ヤギ2頭による除草試験を2016年10月30日まで実施する計画だ(図1)。

図1 「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」の敷地イメージ 「出典:SBエナジー

 4社は2014年度から同ソーラーパークでこの取り組みを実施している。これまで一定の除草効果に加えて、エンジン式草刈り機使用時と比較し、CO2排出抑制効果や試験開始前と比べ顕著な集客効果が見られ、さらに地域住民や職場へのセラピー効果などの成果も得られているという。

 2016年度は、発電施設を囲うフェンスに巻き付いて太陽光パネルに影を作り、フェンス自体の破損原因となる植物のクズ対策を主な目的とし、従来試験で実施してきた発電施設外での除草作業に加えて発電施設内でも羊とヤギの除草試験を行う。マメ科に属するクズは羊やヤギの好物でもあるため、好んで食することが予想される、発電所の発電効率確保や運営面でより実用性の高い除草効果が得られることを期待している(図2)。

敷地に放す羊とヤギのイメージ 出典:SBエナジー

 今回の除草試験では、羊1頭にGPSアンテナを装着し、一日の移動距離と行動範囲、ならびに頻繁に滞在する地点などの移動データを採取してエリア内の植生データと照合することで、羊が好んで採食する植物の種類と特徴が試験前の想定と合致するかについても調査する。

 ソフトバンク鳥取米子ソーラーパークは鳥取県、米子市、鳥取県住宅供給公社が所有する米子市崎津地区内の約53万2000平方メートルの敷地に設置されたもので、2014年2月に営業運転を開始した。出力規模は約42.9MW(メガワット)のメガソーラーだ。

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