広範囲にわたる問題に対して、東京電力PGは人手による改善策を中心に実施してきた。引き続き同様の改善策を続けながら、メーターのデータを収集するMDMS(メーターデータ管理システム)と託送業務システムのあいだのデータの不整合を解消する対策などを講じる予定だ(図5)。
とはいえ託送業務システム全体の不具合をいつまでに解消できるかは不明だ。7月1日の改善計画の中では、次のような抽象的な見通ししか記載していない。「7 月以降は対策を全て実施することにより、計器の故障やスイッチングの際の付け外し指針が不明なものを除く全数について、速やかな使用量通知を目指し、今後定期的に改善の進捗状況を検証する」。
その一方で「現地対策本部」の設置を検討するなど、人的な対応で事態を収拾する方針を打ち出している(図6)。現地対策本部の約600人のうち半数近い280人を「暫定運行チーム」に配置して、需要・発電データの遅延や料金計算の問題解決、小売電気事業者と交渉する「協定」などを進めていく考えだ。
これに対して託送業務システムの正常運行に向けた「恒久対策チーム」には、協力会社を含めても10人しかいない。少人数の体制でシステムの不具合を短期間に解消できるならば問題はないが、今後の見通しが明らかになっていないだけに不安が残る。
東京電力PGは引き続き改善計画の進捗状況の検証を毎月2回の頻度で実施して、その結果を1週間以内に電力・ガス取引監視等委員会に報告しなくてはならない。次回の報告は7月22日がめどになる。問題の根幹にある託送業務システムの不具合の解消状況についても明確に報告したうえで、全面解決の見通しを早く示す必要がある。
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