水上の太陽光パネルで発電した電力はマイクロインバーターで交流に変換した後に、ケーブルを通じて陸上の受電装置へ送る仕組みだ(図4)。受電装置で高圧(50kW以上)の電力に集約して送配電ネットワークへ供給する。受電装置の近くには電気自動車用の充電器も設置した。
水上式の太陽光発電に欠かせないフロートにはフランスのシエル・テール社の製品を採用した。高密度ポリエチレン製の2種類のモジュールを組み合わせて架台を作り、その上に12度の傾斜角で太陽光パネルを設置する方式だ(図5)。日本でも埼玉県や兵庫県で稼働中の水上式メガソーラーで使われている実績のあるフロートである。
蓮花寺池の太陽光発電は福岡市が公募して実施した(図6)。公募で選ばれた地元の太陽光発電事業者のパワーマックスが建設・運営する。発電した電力は固定価格買取制度で売電して、福岡市には池の賃貸料が入る。賃貸料は20年間で約700万円を見込んでいる。ため池などの農業用施設の維持管理費の軽減に生かす方針だ。
マイクロインバーターを使った水上式の太陽光発電設備は、福岡市をはじめ福岡県内にある農業用ため池に広く展開できる可能性がある。福岡県全体では農業用ため池が5000カ所以上もあり、九州の7県の中では最も数多く分布している。
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