停止中の「柏崎刈羽原発」では何が行われているのかエネルギー管理(1/4 ページ)

全原子炉が停止している東京電力の「柏崎刈羽原子力発電所」。現在も原子力規制委員会による安全審査が続いているところだ。同発電所では2011年に起きた福島第一原発での事故を受け、これまでどういった安全対策を進めてきたのか。内部を取材した。

» 2016年07月29日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 新潟県柏崎市と刈羽村にまたがる東京電力ホールディングス(以下、東京電力)の「柏崎刈羽原子力発電所」(以下、柏崎刈羽原発)。約420万平方メートルの敷地に合計7基の原子炉を備え、その総出力は821万2000kW(キロワット)と1カ所の原子力発電所としては世界最大規模の発電量を持つ(図1)。

 現在、7基の原子炉は全て稼働を停止している。原子力規制委員会による安全審査が続いているところだが、引き続き再稼働の見通しは立っていない。2011年の福島第一原発での事故を経て、柏崎刈羽原発の現場ではどういった安全対策の取り組みを進めてきたのか。東京電力は2016年6月にその一部を公開した。

図1 「柏崎刈羽原子力発電所」出典:東京電力HD

きっかけは新潟県中越沖地震

 柏崎刈羽原発が従来とは異なる安全対策への取り組みを行うきっかけとなったのが、2007年に発生した新潟県中越沖地震である。この震災で火災などが発生し、柏崎刈羽原発の原子炉は一時全基が停止。原発の防災性能や耐震性、非常時の対応手順など、さまざまな点が見直されるきっかけとなった。こうした反省を踏まえて2010年に建設されたのが「免震重要棟」である(図2)。この免震重要棟は同時期に福島第一原発にも建設されており、2011年の事故対応時にも現場指揮の拠点として大きな役割を果たした。

図2 柏崎刈羽原発内にある「免震重要棟」(クリックで拡大)

 免震重要棟は基礎と建物の間に積層ゴムが入っており、これにより地震の揺れを軽減する。震度7クラスの揺れを3分の1〜4分の1程度に軽減する免震性能を持つという。建物の周囲を囲むコンクリート壁や入り口や窓には鉛板の入ったカーテンを設置するなど、建物内の汚染拡大の防止や人員の被ばく防止対策が施されている(図3・4)。

図3 免震重要棟の周囲を囲むコンクリート壁 /図4 建物の中に置かれている個人線量計(クリックで拡大)
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