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» 2016年08月12日 15時00分 UPDATE

電力自由化で勝者になるための条件(6):電力小売の顧客管理システム、いかにコストを最小に抑えるか (1/2)

契約の申込受付から料金計算まで含めて、電力の小売事業に必要な業務は幅広い。ITの活用は不可欠だが、薄利多売の小売事業で収益を上げるためには、顧客管理システムの開発・運用コストを最小限に抑える必要がある。当面の顧客数を想定しながら、簡易な仕組みから立ち上げるのが望ましい。

[平松 昌/エネルギービジネスコンサルタント,スマートジャパン]

連載第5回:「電力の小売事業を支える顧客管理業務、契約申込から料金計算まで」

 電力の小売事業を支えるIT(情報技術)システムを構築するにあたっては、自社の業務内容に合わせて組み立てる必要がある。そのうえでコストの最小化を考慮しながら、最適な仕組みを作らなくてはならない。

 特に家庭を中心とする低圧の分野では、業務を支えるITシステムの開発コストを最小化すべきである。薄利多売のビジネスモデルを考えれば、オペレーションを含めてコストを抑制できる仕組みを構築することが極めて重要になる。

 最初に実施すべきことはスコープ(対象範囲)の確定である。まず事業のベースを確認する(図1)。需要家のターゲットをどう設定するのか、高圧と低圧のどちらが対象なのか、それとも両方を対象に事業を展開するのか、を決める必要がある。

図1 電力小売事業の参入ステップ

 そのうえで目指すべき数値目標(需要家の獲得数や収益性など)を中期計画として組み立てる。当初の獲得想定数が少ない場合には、業務の組み立てとシステムの要件をシンプルに考えることができて、事業の立ち上げコストを抑制できる可能性がある。

 次に小売事業にかかわる内部・外部のステークホルダーを確認して、業務の役割分担を大枠で想定する。そのうえで内部の業務を絞り込み、業務フローを策定することになる。例えば既存の事業で収納代行会社を活用している場合には、その会社を電力の小売でも利用することが想定される。現行の業務フローに電力の請求を取り込めば対応が完了する。

 この考え方は料金計算でも同じである。既存の事業で料金計算業務を行っているのであれば、新規に業務フローを組み立てることは非効率になる可能性が大きい。電力の分野では競争力の観点から料金メニューが多くなりがちだが、中期的な戦略として同じような料金メニューを継続することはベストとは言いがたい。戦略の変更が起こることは容易に想定できる。料金メニューを絞り込んで、料金計算業務を可能な限り簡易な仕組みで策定したいところである(図2)。

図2 小売電気事業者に求められる顧客管理業務(画像をクリックすると拡大)。SW:スイッチング、FIT:固定価格買取制度

 さらに需要家に向けた機能として、電力の使用量などを見える化する仕組みも求められる。ただし、ほとんどの需要家は見える化の機能を使わないことを前提にシンプルな仕組みを作るべきである。

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