電気料金の見積もりが成否を分ける、高圧と低圧で異なる戦略電力自由化で勝者になるための条件(8)(2/2 ページ)

» 2016年08月22日 15時00分 公開
前のページへ 1|2       

低圧の見積もりは簡易的な方法も

 家庭向けの低圧の場合でも、需要家に対する訴求点を明確にするうえで、見積もり業務は必要である。ただしWEBサイトにサンプルの費用を掲載する、あるいは月間の使用量を入力するだけで簡易的に年間の費用を比較できるようにする、などの方式をとる事業者が多い。外部の料金比較サイトと連携して済ませる動きもある。

 低圧の見積もり業務は受付方式が対面なのか、WEBやコールセンターを使うのか、によって異なる。それぞれ簡易的な見積もりで済ませることも可能であり、事業者の方針で対応方法が大きく違ってくる(図2)。

図2 小売電気事業者に求められる顧客管理業務(画像をクリックすると拡大)。SW:スイッチング、FIT:固定価格買取制度

 現在の小売電気事業の制度では、本人確認書類の提出と本人同意をもって、需要家の過去13カ月分の使用値を取得できる。この数字を利用して1年間の見積もりを行い、現行の一般電気事業者(電力会社)との料金比較が可能となる。

 ただし精緻に見積もるとはいっても、過去のデータに基づく参考値であり、スイッチング後の使用量が見積もりどおりに推移するとは限らない。受付段階の業務コストを最小に抑えたい事業者にとって、どこまで見積もり業務に対応するかは重要な判断になる。料金を比較する相手の会社も電力会社から新規参入事業者まで広がっていくため、各社の動きを追随するコストや運用面を十分に考えておく必要がある。

連載第9回:「小売電気事業者の販売チャネル、代理店・取次店の業務をどう支援するか」


著者プロフィール

平松 昌(ひらまつ まさる)

エネルギービジネスコンサルタント/ITコスト削減コンサルタント。外資系コンピュータベンダーやベンチャー事業支援会社、電力会社の情報システム子会社を経て、エネルギービジネスコンサルタントとして活動中。30年間にわたるIT業界の経験を生かしてITコスト削減支援および電力自由化における新電力事業支援を手がける。Blue Ocean Creative Partners代表


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.