未着工太陽光発電所の買取事業を開始、改正FIT法での認定取り消し前に太陽光

ジー・スリーホールディングスは、未稼働太陽光発電所の買取事業に参入することを発表した。改正FIT法により未稼働案件のFIT認定取り消しが行われることに伴い、建設が難しくなった事業者から発電所および接続権利などを買い取る。

» 2016年08月29日 15時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 2016年5月に成立した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律」(通称:改正FIT法)では、既にFIT認定を受けた事業者も2017年3月31日までに電力会社との接続契約が締結できていない場合には、原則的に認定が失効することになる。

 「FIT認定は受けたものの、実際に発電していない」という事業者は、政府などが想定した以上に多い。2012年のFIT開始後はFIT認定取得のための申し込みが殺到。FIT開始前の2012年6月までの累積導入量が4960メガワット(MW)だったのに対し、2012年7月〜2016年2月までの累積認定量は7万9302MWに達した。しかし、実際の導入量は2万6454MWにとどまっており、5万3000MWが「認定は受けているものの稼働していない」という滞留案件となっているのだ。

 送配電網を抱える電力会社は、基本的にはこのFIT認定量により、接続制限などをかけているため、発電を行わない事業者がFIT認定の権利を持ち続ければ、実際に発電を行う計画のある事業者の事業機会を阻害することになる。さらに再生可能エネルギーの発電を増やそうという政府の狙いも実現できず、未稼働案件問題は再生可能エネルギー市場にとっての大きな課題となっていた。これらの解決を目指したのが改正FIT法である。

photo 図1 太陽光発電所のイメージ図(ジー・スリーホールディングスの投資案件である英田光太陽光発電所配置図 出典:ジー・スリーホールディングス

 認定取り消し前までに実際に発電を行える事業者であれば問題ないが、既に建設を行う体力がなかったり、事業運営が難しくなったりしている事業者も存在する。こうした事業者から、FIT認定を受けた発電事業を買い取り、事業計画を再構築して太陽光発電事業所を建設して、運用会社への売却や賃貸を行う事業を展開するのが今回のジー・スリーホールディングスの新事業である。

 同社の連結子会社である社エコ・ボンズはもともと、太陽光発電用地やFITの設備認定、発電事業者の権利などを取得し、運用会社に売却もしくは賃貸を行うビジネスモデルを展開。さらに運用会社への太陽光発電事業のコンサルティング、また太陽光電池モジュールなど太陽光発電商材の販売なども行ってきた。こうしたノウハウを生かし、未着工太陽光発電所の事業計画を立て直して収益化を目指す。

 買取対象地域は国内全域で、買取発電所の規模は合計100MW(メガワット)を予定。買取規模は総額で30億円を想定する。事業主体としては、ジー・スリーエコエナジーとジー・スリーエコエナジーツーという合同会社を2社設立して、運営する計画だ。

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