洋上風力の低コスト化へ、新しい浮体式システムの開発に着手自然エネルギー

NEDOは浮体式洋上風力発電の低コスト化に向けた新システムの要素技術開発に着手する。一体化した風車・浮体・タワー方式による軽量化や、台風時の風荷重低減などを実現する新たな浮体式洋上風力発電システムの概念設計などを進め、2030年以降に浮体式洋上風力発電のコストを1kWh当たり20円まで削減したい考えだ。

» 2016年12月26日 11時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2030年以降の浮体式洋上風力発電の発電コスト20円/kWh(キロワット時)実現に向け、システムの低コスト化に関する要素技術開発に着手する。この事業では、低コスト化に向けて、一体化した風車・浮体・タワー方式による軽量化や台風時の風荷重低減などを実現する新たな浮体式洋上風力発電システムの概念設計、モデル化した小型装置を用いた水槽試験およびシステムの安全性・信頼性・事業性の評価などを行う。

 日本は、国土に遠浅な海岸線が少なく急峻な海底地形が多いことから、洋上風力発電の導入を加速するためには、着床式洋上風力発電に加えて、より深い海域に対応する浮体式洋上風力発電の研究開発による適用海域の拡大が求められている。近年、国内外で2〜5MW(メガワット)クラスの浮体式洋上風力発電の実証研究が開始され、技術的な検証が進められているが、普及を拡大していく上では、浮体式洋上風力発電が将来の着床式洋上風力の発電コストと競合できるようさらなる低コスト化に向けた先進的な研究開発が必要だ。

 今回の採択テーマは「風力発電等技術研究開発/洋上風力発電等技術研究開発/次世代浮体式洋上/風力発電システム実証研究(要素技術開発)」。事業では、低コスト化に向けて、1点係留技術による風車ヨーシステム(風車回転面を変動する風向に追尾させる制御システム)の省略、2枚ブレード風車の採用による台風時の風荷重低減、一体化した風車・浮体・タワー方式による軽量化などを実現する浮体式洋上風力発電システムの概念設計、部品試作、またそれらを用いた水槽試験などを実施。同システムの安全性や事業性などについての評価を取りまとめ、2030年以降、事業化時に浮体式洋上風力発電システムの発電コスト20円/kWh(キロワット時)を目指す。

図1 開発する新システムのイメージ 出典:NEDO

 委託予定先は九州大学、海上・港湾・航空技術研究所、日本アエロダイン、富士ピー・エス、グローカル。事業期間は2016〜2017年度となっている。

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