英国の国際石油資本BPが2035年までの世界のエネルギー動向を予測した「BP Energy Outlook 2017 edition」。前回に引き続き、今回は再生可能エネルギーや電力、二酸化炭素排出量などについて、4つの予測を紹介する。
英国の国際石油資本BPが発表した「BP Energy Outlook 2017 edition(Outlook)」では、エネルギー市場の需給状況や地域別の変化、エネルギー源ごとの成長を2035年まで予測している。
前回は世界の経済成長と、化石燃料の動向の予測を8点紹介した。今回は再生可能エネルギーと電力、二酸化炭素排出量の将来について4つの予測を示す。過去の版のOutlookの予測と今回の版の予測も比較した。
今後20年間、再生可能エネルギー*1)の年平均増加率は7.1%だとBPは予測している。2035年には一次エネルギーの10%を担うまで成長し(2015年は3%)、3種類の化石燃料に次ぐ第4の地位を占める(図1)。
*1) Outlookで再生可能エネルギーに分類されているのは、風力発電、太陽光発電、地熱発電、バイオマス発電、バイオ(液体)燃料の5つ。水力発電を含んでいない。
再生可能エネルギーは発電部門で主に利用される。2035年までに増設される発電所の発電量(石油換算トン)のうち、再生可能エネルギーの比率は40%に上る。発電部門における再生可能エネルギーの年平均増加率は7.6%だ。
その結果、発電部門に占める再生可能エネルギーの比率は2015年の7%から、2035年には20%へと伸びる*2)。この傾向はEU(欧州連合)において強く、2035年には発電量のうち約40%をまかなう(図2)。
意外なことに、発電量に占める再生可能エネルギーの比率の変化の様子は、2035年まで全世界平均と中国、米国がほぼ同じ軌跡をたどる。
ただし、全世界で増設される再生可能エネルギーを用いた発電設備が、どの地域に分布するかを見ると、多少様相が異なる(図2右)。過去20年間はEUがほぼ40%を占めていたが、今後20年間は中国が40%近くを占める。これは中国における発電設備の増設量が大きいからだ。
*2) 総発電量7996.9(石油換算100万トン単位)のうち、再生可能エネルギーが同1585.7を占める。水力の同1271.8を加えると、全体の36%を占める。総発電量に占める比率が最も多い単体のエネルギー源は、2035年においても石炭(同2434.5)だ。
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