「毒」だった一酸化炭素で発電、燃料電池の新たな触媒蓄電・発電機器

九州大学 大学院工学研究院教授の小江誠司氏らは、水素と一酸化炭素が50対50の比率の燃料で燃料電池が駆動することを見いだした。燃料電池の白金触媒で課題とされていた、燃料の水素に含まれる微量の一酸化炭素で被毒され、触媒活性が著しく低下することの解決につながる可能性がある。

» 2017年06月08日 11時00分 公開
[庄司智昭スマートジャパン]

「水素と同じように燃料として使用」

水素と一酸化炭素が50対50の比率の燃料で駆動する燃料電池のメカニズム。反応途中の触媒構造はX線解析で明らかにしたという 出典:九州大学

 九州大学 大学院工学研究院教授の小江誠司氏らは2017年6月、水素と一酸化炭素を燃料とする燃料電池触媒の開発に成功したと発表した。JNCとの共同研究による成果である。

 燃料電池の白金触媒は、燃料の水素に含まれる微量の一酸化炭素で被毒され、触媒活性が著しく低下してしまう。小江氏は「一酸化炭素から触媒を保護する発想ではなく、水素と同じく燃料として使用することを考えた」と語る。

 研究グループは今回、水素と一酸化炭素が50対50の比率の燃料で燃料電池が駆動することを見いだした。燃料電池の分野において、大幅な性能向上につながる可能性がある。現在は基礎研究段階としており、実用化の時期などは不明という。

 なお同研究は、文部科学省科学研究費補助金・特別推進研究「ヒドロゲナーゼと光合成の融合によるエネルギー変換サイクルの創成」の一環として、小江誠司氏らが九州大学大学院工学研究院と小分子エネルギーセンター、九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、JNC、福岡市産学連携交流センターと共同で行った。

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