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» 2017年12月11日 07時00分 公開

電気自動車:EVを電池として活用、使用済みバッテリーも生かすVPP実証

日本ベネックスと住友商事が、VPP事業に参画。日産のEVと、使用済みの蓄電池を活用したシステムを日本ベネックスの本社工場に導入し、VPPを構築する。

[長町基,スマートジャパン]

 産業機器設計・製造の日本ベネックス(長崎県諫早市)と住友商事は、関西電力を中心としたコンソーシアムが取り組むバーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業「関西VPPプロジェクト」に参画する。日産の電気自動車(EV)10台と、リユース蓄電池システムを活用してバーチャルパワープラント(VPP)を構築する。

 VPPは、点在する蓄電池や需要設備などのエネルギーリソースを、IoTを活用して統合し、その充放電などを制御することで電力の需給を調整する取り組み。電力自由化や電力システム改革の進行に伴い、注目が集まっている。今後VPPが実用化されると、社会全体として電力需給の調整力が拡大するため、天候によって出力が大きく変動する再生可能エネルギーの導入拡大にもつながると期待されている。今回、日本ベネックスと住友商事が参画するVPPプロジェクトは、経済産業省資源エネルギー庁の補助事業である「需要家側エネルギーリソースを活用したVPP構築実証事業費補助金」を活用して行う実証事業だ。

 実証で利用するリユース蓄電池システムは、両社が共同で物流コンテナへの高積載技術を駆使して新しく開発した。1ユニットでEV24台分、定格蓄電池容量576kWh、実効蓄電池容量約400kWhを持つ。住友商事が既に夢洲(大阪市)や甑島(こしきじま、鹿児島県薩摩川内市)で運用しているものと比較し、2倍の容量となっており、経済性をさらに高めた。システムは2018年1月の完工および稼働開始を予定しており、将来はVPP対応の新型リユース蓄電池システムとして富士電機が商品化する計画だ。

実証の概要 出典:日本ベネックス

 システムの導入先は、日本ベネックスの本社工場で、普段は電力需要ピーク時の補助電源として使用するが、日産自動車の協力で2017年4月に導入された商用型EV「e-NV200」10台分の充電スタンド(3KW)と合わせて、VPP実証事業にも生かす。EVは従業員の通勤用として利用するだけでなく、駐車場停車時には、遠隔制御で充電時間帯を最適なタイミングに誘導することで蓄電池としても活用する計画だ。

導入したEVと、リユース蓄電システムの完成イメージ 出典:日本ベネックス

 日本ベネックスは、精密板金加工技術を基盤に大型映像装置をはじめとした産業・電気機器製造事業を手掛けている。2012年に環境エネルギー事業に新規参入し、これまでに約21MWの太陽光発電システムの設計施工・運営を行ってきた。2016年に本社工場に設置した自家消費型屋根置太陽光パネルに加えて、EVとリユース蓄電池システムを合わせて導入することで、最新の環境関連技術一式を備えた「スマート工場」のモデルを構築し、今後注力する環境エネルギー事業のショーケースとする考えだ。

 住友商事は、日産自動車との合弁事業であるフォーアールエナジー(横浜市)と共同で、EVで使い終わった蓄電池を再利用・再製品化し、EVの普及促進に貢献する仕組みを作ってきた。VPP実証事業では、EVやリユース蓄電池システムの特性を生かしたVPP制御の効果を検証し、新しいエネルギーマネジメント事業の可能性を検討する。また、グループ会社を通じて同システムを産業用システムとして拡販するとともに、住友商事が目指す大型蓄電池事業にも活用する計画だ。

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