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» 2018年05月30日 12時15分 公開

蓄電・発電機器:再エネ水素で混焼発電、日立らが福島県で実証へ

福島県で再生エネで製造した水素や、工場の排ガスから取り出した水素を発電燃料として利用する実証がスタート。最エネの出力変動対策や、化学プラントなどで発生する副生水素を利用したエネルギーの自家消費モデルとして期待できる技術だという。

[長町基,スマートジャパン]

 日立製作所とデンヨー興産は2018年5月、産業技術総合研究所と共同で、福島県において再生可能エネルギーで製造した水素や、同県内の工場の排出ガスから生成した水素を活用し、水素混焼ディーゼル発電機で熱と電気を需要者に供給する「水素混焼発電システム」の実証を開始すると発表した。

 同実証は、「平成30年度福島県における再生可能エネルギーの導入促進のための支援事業(再生可能エネルギー関連技術実証研究支援事業)」に採択されたものであり、2018年5月〜2019年度にかけて実証を行う。

 風力や太陽光などの再生可能エネルギーは、気象条件などにより発電電力が変動するため、商用電力系統と連系する際、系統が不安定になることが課題だ。そうした中で、再生可能エネルギーや工場の操業過程の排出ガスなどから安定的に抽出・供給可能な水素を活用した発電が、低コストかつ気象条件などに影響されないクリーンエネルギーとして注目されている。

 3者が実施する今回の実証では、第1段階として、保土谷化学工業の「郡山工場」(福島県郡山市)の協力により、同社の排出ガスから生成する水素を用いた水素混焼ディーゼル発電機の燃焼試験を行う。第2段階では、産総研福島再生可能エネルギー研究所(福島県郡山市)の再生可能エネルギー設備で生成したメチルシクロヘキサン(MCH)を保土谷化学に輸送し、脱水素ユニットにより水素を抽出した上で、福島県内産のバイオ燃料なども用いながら混焼する水素混焼発電システムの実証に取り組む。発電した電力は系統連系し、保土谷化学の工場内で使用する。

実証の概要 出典:日立製作所
実証で利用する「水素混焼ディーゼル発電機」の外観 出典:日立製作所

 水素混焼ディーゼル発電機の発電出力は500KW(キロワット、目標値)で、水素の混焼比率は90%を目指す。発電システムの主な特徴としては、水素の低圧供給が可能で、昇圧が不要。さらに、低純度水素・副生水素の利用が可能という。水素の他、液体燃料として重油、軽油、バイオ燃料なども利用でき、水素供給量が変動する場合は液体燃料でバックアップが可能(液体燃料のみの運転も可能)となっている。

 日立は、同実証の取りまとめ企業として、実証システム全体の設計、調達、据え付け、脱水素ユニットの開発と連続運転試験の実施・評価を行う。デンヨー興産は、水素混焼ディーゼル発電機の開発と連続運転試験の実施・評価を担当する。産総研は、MCHの製造・供給、バイオ燃料の供給・分析、排出ガスを分析評価する。

 今後、3者は同実証を通じて得た成果を生かし、石油コンビナート・鉄鋼・化学プラントなどから生成される副生水素を有効活用して電気と熱を自家消費する事業モデルの普及・拡大を推進する。併せて、再生可能エネルギーの電気を平準化して系統連系し、需要家に安定して供給することを目指す。

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