風力発電の導入拡大へ、北海道に「送電線+大型蓄電池」を新設自然エネルギー

北海道北部で風力発電の導入拡大を目的とした、送電線の新設プロジェクトが始動。新たに設置する変電所には大型の蓄電システムを導入し、出力変動対策に活用する。

» 2018年10月18日 09時00分 公開
[スマートジャパン]

 GSユアサは、北海道北部風力送電(札幌市)が計画する「風力発電のための送電網整備の実証事業」において、EPC(設計・調達・施工)を担当する千代田化工建設から、大容量蓄電池設備設置工事を受注したと発表した。

 北海道北部風力送電が進める「風力発電のための送電網整備の実証事業」は、風力発電の導入拡大に向け、系統制約の解消と安定的な電力供給を目指すプロジェクト。系統を増強するために、稚内恵北開閉所・開源開閉所から、新設する「北富豊変電所」(北海道豊富町)を経由し、北海道電力の設備までの77.8kmに域内送電網を整備する計画。運転開始は2023年3月を予定している。総事業費は1000億円で、2018年10月4日から建設工事を開始した。

 送電線は2回線を敷設する。北富豊変電所から北海道設備間の70.2km(キロメートル)に187kV(キロボルト)、稚内恵北・開源開閉所から北富豊変電所間の7.6kmに66kVの送電線を敷く。これにより、約600MW(メガワット)の風力発電を連係できるという。

新設する送電線 出典:北海道北部風力送電

 新設する北豊富変電所は、2022年度に稼働を予定している。今回、GSユアサが同変電所に出力240MW(メガワット)、容量720MWh(メガワット時)の蓄電池設備を設置する。変電所に併設する蓄電池システムとしては世界最大級という。この大容量の蓄電池で風力発電の出力変動を吸収し、系統安定化を図る狙い。

GSユアサが設置する蓄電設備の概要 出典:GSユアサ

 今回納入するリチウムイオン電池は、高い信頼性を持つ内部抵抗の小さい高エネルギータイプの新型リチウムイオン電池を採用。出力変動の吸収運転に重要な最適SOC(State of Charge、充電率)管理が可能などの特徴があるという。リチウムイオン電池セルは、車載用および産業用蓄電池事業を手掛けるGSユアサグループのリチウムエナジージャパンで製造する。

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