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» 2018年12月10日 07時00分 公開

自然エネルギー:太陽光の“発電事業者”による新団体「ASPEn」誕生、その設立の狙いとは? (1/4)

再生可能エネルギーの主力電源化がうたわれる一方で、太陽光発電には社会との共生など新たな課題も顕在化してきている。こうしたなか、中小規模の発電事業者を中心とする全国組織「一般社団法人太陽光発電事業者連盟(ASPEn/アスペン)」が誕生。発電事業者による組織を立ち上げた狙いとは? 設立シンポジウムの様子をレポートする。

[廣町公則,スマートジャパン]

 2018年11月21日、一般社団法人太陽光発電事業者連盟(ASPEn/アスペン)が設立され、翌22日、城南信用金庫本店(東京都品川区)において設立記念シンポジウムが開催された。「新しいインフラの担い手として自主的に啓蒙活動に努め、太陽光発電所の責任ある設置と運営をしていかなければならない」との認識のもと、太陽光発電所を経営する発電事業者によって組織された新団体だ。太陽光発電関連の団体には、メーカー系、施工会社系などさまざまな業界団体があるが、発電事業者による全国規模の組織は珍しい。

 ASPEnには、500kW(キロワット)未満の野立て太陽光を中心に、既に約1000カ所の太陽光発電所が仮登録されているという。今後さらに会員数を増やし、全国に散らばる太陽光発電事業者の意見を集約し、国や社会に発信していく考えだ。同時に、発電事業者として果たすべき安全への取り組みを徹底し、広く社会に受け入れられる太陽光発電の普及発展を目指していく。

 設立記念シンポジウムには、日本各地から約200人の太陽光発電事業者が参加した。来賓あいさつに、小泉純一郎元首相が現れ、会場は冒頭から熱気に包まれた。他に来賓あいさつに立ったのは、中川秀直自民党元幹事長。ASPEn代表理事の谷口洋和氏による発起人あいさつに続いて、ASPEn専務理事の馬上丈司氏が「再生可能エネルギーと農業で真に豊かな社会を」と題して講演を行った。特別講師として招かれた京都大学大学院経済学研究科の安田陽特任教授は、「次世代への富の再配分としての再生可能エネルギー」をテーマにレクチャー。講演の最後を締めくくったASPEn顧問の吉原毅氏は、地域金融機関の立場から太陽光発電事業の可能性について熱く語った。吉原氏は、この日のシンポジウムを後援した城南信用金庫の前理事長(現・顧問)であり、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟の会長でもある。

11月22日の設立記念シンポジウムの様子

小泉純一郎元首相、脱原発を訴える

 小泉純一郎氏は、首相時代に自らが主導したエネルギー政策の誤りに触れつつ、自然エネルギー(再生可能エネルギー)がこれからの経済発展を支えていくと訴えた。

小泉純一郎 元首相

「総理大臣の時には、私も原発は必要だと言っていた。しかし、福島原発事故が起きて、自分なりに勉強を始めて、それが間違いだったことに気付いた。専門家は、原発は絶対安全だ、他の電源に比べて安い、CO2を出さないクリーンエネルギーだと言っていたが、これは全部うそだった。ドイツは、あの福島の事故をみて、与野党ともに原発ゼロという方針を打ち出した。既に自然エネルギーだけで30%程度の電力を供給している。日本においても、原発をゼロにして、自然エネルギーをこれからの経済発展に生かしていくことは、決して不可能な事業ではない。保守革新、与党野党は関係ない。無限にある太陽光、風力、水力などの自然エネルギーによって日本を発展させていく方針に、いずれ必ず変わっていく」(小泉氏)。

中川秀直 自民党元幹事長

 続いて登壇した中川秀直自民党元幹事長も、「私はかつて原子力委員会委員長を務め、原発を積極的に推進していた。その意味では、いっそう罪が深い。いまは贖(しょく)罪の意味でも、脱原発にまい進している」として、次のように話す。

「自由で開放された電力市場、広い地域で電力を融通しあう送電網、そういうものは必ずできてくる。そうなると、皆さんのやっている電力(太陽光発電)が最優先で、競争力のある電力として必ず選択されるようになる。日本はいま化石燃料を年間25兆円くらい輸入しているが、これがいらなくなる。25兆円の減税をするようなもので、経済効果はばく大なもの。勉強をすればするほど、皆さんのやろうとしていることが正解であると思えてならない」(中川氏)。

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