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カシオがなぜAIペットロボットを作るのか? 「モフモフ」に秘められた“カシオならでは”の技術とは

» 2024年10月11日 10時00分 公開
[島田拓ITmedia]

 カシオ計算機は10月10日、AIペットロボット「Moflin」(モフリン)の記者発表会を行った。モフリンは、手のひらサイズで動物のような毛並みを持つAIペットロボット。飼い主と絆を築けるという製品だが、なぜカシオがAIペットロボットを作るに至ったのか。その背景や製品の概要を紹介した。

カシオ計算機が発表したAIペットロボット「モフリン」

 同社は、これまで手掛けてきた時計や電子楽器を挙げ、機能面にとどまらない付加価値を持つデジタルデバイスにより、新たなライフスタイルを提案してきたと説明。新型コロナの流行以降、メンタルヘルス障害が増加したことなどを背景に、人に寄り添うAIペットロボットの開発を目指したという。

 モフリンのサイズは、130(幅)×90(奥行き)×180(高さ)mmで、重さは260gと、外に連れていきやすいよう、コンパクトに仕上げている。またAIとモーションセンサーを搭載し、よく話しかける人を飼い主であると学習する他、なでる・抱きしめるなどの行為から飼い主が好むしぐさを自ら進んで行うようにもなったり、鳴き声が変化したりするという。

手のひらに乗せた際のサイズ感

 では具体的にどのようなフローを経て、モフリンの反応に違いが生まれていくのか。モフリンにコミュニケーションを仕掛けると、センサーがそれを感知。人のさまざまな感情をまとめた「感情Map」という内部パラメータと照合し、AIが反応を決定する。

「感情Map」のイメージ

 なお、モフリンに搭載したAIモデルの詳細をカシオに聞いたところ「複雑なので詳しく言うことはできない」と返答があった。

 モフリンには、同社がこれまで培ってきたデジタル技術も使われている。例えば、電子楽器などの音声表現技術を、モフリンの鳴き声にも使っていると説明。他に、モーションセンサーにもノウハウを活用するなど、ハード・ソフトを問わず、さまざまなデジタルデバイスを作ってきた知見を集約したという。

なでると生き物のように鳴いて反応

 「ロボットと言っているが、パートナーや家族のような存在になれるように開発した。他社のAIペットロボット製品に比較し、カシオの技術を生かした生き物らしさがポイントだ」(同社)

充電中のモフリン

 モフリンの発売日は11月7日で、価格は5万9400円。連携するサービスとして、モフリンの現在の性格などが確認できる専用スマートフォンアプリや、修理・メンテナンスなどの費用を割引するアフターケア(年額6600円)なども用意している。

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