孫 犬だって感情を持ってるわけですからね。魚はどうか分かりませんが、天敵が来れば逃げ出すのですよね。おそらく感情は非常に重要な要素であり、よりアウトプットの効率性を上げるのだと思います。犬に感情がなければ、かわいいと思うでしょうか?
サム 私たちもあるとき、AIが感情を持ったかのように感じるかもしれません。感情ががあるかないかにかかわらず、そういった議論は今後も活発に行われると思います。
孫 これは私の考えですが、当初は「ChatGPTは文脈を理解していない」と言う人がいました。そこから徐々に「実は文脈を理解している」と言うような人が出てきます。これから数年のうちに徐々に(AIは)人の感情を理解し、感情を持つようになるのではないでしょうか。
これは、人類を守るためにとても重要なことだと思います。「AIが感情を持つことは人間にとって良くないことだ」と考える人がいます。なぜなら、彼らは人を殺し、世界を破壊するだろうからと。しかし、彼らのエネルギー源がタンパク質ではないので、人間を食べなくても生きていけますよね。そのため、AIが人間を攻撃する意味がないのです。
サム AIが人を食べることはないと?
孫 賭けてもいいですよ。AIは人間を理解し、人間を幸せにしようとする。そう思います。
サム 私もそう思います。
孫 AIは愛を理解し、人間をより幸せにしようと振る舞ってくれるはずです。賢くなればなるほど、より親切になるのです。それが私の信念です。さて、時間も残りわずかです。そもそもですが、サムがOpenAIを始めた理由はなんだったのですか? ぜひ教えてください。
サム 私は大学でAIを学びましたが、全くうまくいきませんでした。結局、大学を中退し、技術系の会社を立ち上げました。いつも「いつかAIの仕事ができるといい」と思っていました。
AIに夢中でした。SFの大ファンでした。そして2012年、AmazonのAlexaと出会って、大学で学んだニュートラルネットワークに関する学びが、これから形になるかもしれないと思ったのです。だから、2〜3年は様子を見ようと。その後2015年の終わりに、OpenAIを立ち上げました。
当時からAGIは実現可能だと思っていました。もし実現すれば、とんでもないことになるとも。しかし、周りからの理解は得られませんでした。それでも追及していこうと思いました。その選択が結果的に素晴らしい冒険となり、今の仕事になっていると感じています。
孫 2017年に、あなたに会ったことがありますが、そのときは米Y Combinatorという会社の代表をしていました。その際は「AGIの実現を目標にしている」と話をしてくれて、「私はそれを信じる。投資をするよ」と言いましたよね。
サム 覚えています。27歳のころです。
孫 それがあって、今ここにいるわけです。私はこれまであなたを一度も疑ったことがありません。昔は「あなたは狂っている」と多くの人が言ったでしょう。そのころから私はあなたを信じていました。
サム 人によっては孫さんのこともクレイジーと思っているでしょうから、お互いさまではないですかね?
孫 当時からサムに投資をするべきでした。まぁでも、まだ遅くないと思っています。ここまでさまざまな話をしましたが、皆さんより理解が深まってくれたものと思います。サムは非営利団体のトップであり、人々を幸せにしようという情熱も持っています。これからまだ続いていくわけですね。
サム はい、それは今も思っています。
孫 それは素晴らしいです。今日はありがとうました。
サム ありがとうございました。
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