「部長はおられますか?」――間違いがちな言い回しを正す一目置かせる「役割別ビジネス会話」

仕事に敬語は欠かせない。だが「部長はお戻りになられますか?」「課長は参られますか?」「次長、もしおりましたら」など、知らない間に使い方を誤っていることはないだろうか?

» 2009年03月13日 19時07分 公開
[SOS総務]
SOS総務

 相手に一目置かれるための「役割別ビジネス会話」意表を付く感情と理性をバランスよく伝える横から目線を意識するなど、さまざまなアプローチ方法がある。

 ただアプローチは適切でも言葉遣いが不適切な場合、せっかくの効果が目減りする。社会人慣れしている今こそ、普段使っている敬語に誤りがないか確認しておきたい。


 まず表現としての「友達言葉」は職場では慎もう。入社2年もたてば、敬語を使いこなせて当たり前。とはいえ日ごろから意識していないと、すんなりと敬語が出てこず、上司をイライラさせることもある。

上司 「先週頼んだ資料はできましたか?」

部下 「は〜?」

上司 「まだなんですね、いつごろできるの?」

部下 「お昼ごろまでには何とか……」

上司 「できるんだね」

部下 「はい、どうも」


 こんな対話では上司から疎まれる。報・連・相を行うのは当然として、相手の立場に応じた言葉遣いも重要なのだ。

「おる」や「参る」は謙譲語、「お帰りになられる」は無駄使い

 日常会話の中で、年配者でも間違えやすいのが「おる」「参る」である。自分をへりくだって言う時に使う謙譲語なのに、つい「○○さん、おりましたら……」とか、上司に対して「参られますか?」などと使ってしまいがち。こんな時は「いらっしゃいましたら」「おいでになりますか?」などの尊敬語を使おう。

 ビジネスで頻繁に登場するのが接頭語の「お」と「ご」だ。「お(ご)〜になる」と使えば尊敬語、「お(ご)〜する」といえば謙譲語、単に名詞や形容詞につければ丁寧語。便利な言葉のようだが、むやみやたらに使えばよいものでもない。

 「れる」「られる」でも同じことがいえる。慣れるしかないが、間違わないポイントは「お(ご)」を付けたら「れる」「られる」は付けないということ。覚えておこう。例えば「お帰りになられる」は過剰敬語で「お帰りになる」又は「帰られる」が正しい使い方。また、外来語や長い単語には「お(ご)」はつけない。

「お聞き及びですか?」「ご存知ですか?」――敬語を使い分ける

 習うより慣れろ、というが、意識的に学ぶ姿勢がないとなかなか身に付かない。本社の社長と部長、支社のあなたの上司である課長……この3人に対して上手に敬語を使いこなせるだろうか?

 例えば「来る」という動詞。初心者なら「いらっしゃる」一本で勝負するところだが、上級者なら「いらっしゃる」「おいでになる」「お見えになる」「お越しになる」とさまざまに使い分けることもできる。

 「聞いている」という言葉も「社長はお聞き及びでしょうか?」「部長もご存知でしょうか?」「課長、聞いていらっしゃいますか?」と使い分けると、それぞれの上下関係でしっくりくる。

 言葉としぐさは連動するといわれている。言葉遣いを律すると、物腰にも品格が出てくるから不思議だ。頭をフル回転させなければできない、としり込みせずにまずは言葉に出してみよう。やってやれないことはなし。ぜひチャレンジしてみては? 

今日の“一目”ポイント

  • 社会人として敬語使いは適切に。
  • 「おる」「参る」は謙譲語。尊敬語として誤用しない。

  (×)「おられますか?」→(○)「いらっしゃいますか?」

  (×)「参られますか?」→(○)「おいでになりますか?」

  • 「お(ご)〜(ら)れる」は過剰敬語。「お(ご)」か「(ら)れる」の一方のみに。

  (×)「お帰りになられる」→(○)「お帰りになる」または「帰られる」

  • 敬語表現は1つではない。「いらっしゃる」「おいでになる」「お見えになる」「お越しになる」など複数を使い分けるのも手。

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