自分からオフサイドを申告したサッカー選手Biz.ID Weekly Top10

イングランドの往年の名選手、ゲーリー・リネカー。ワールドカップで得点王まで獲得したリネカー氏だが、彼はフェアなプレイヤーとしても有名だった。

» 2009年05月28日 21時45分 公開
[杉本吏,Business Media 誠]

 先週のアクセスランキングでは、連載「みっちゃんのオフィスちゃっかり訪問」から、マックスファクトリーの「figma」制作現場の訪問リポートが1位に輝いた。初音ミクや涼宮ハルヒなど、クオリティが高いfigmaがどんなオフィスで制作されているのか、興味のある方はぜひご一読を。

 さて、Biz.IDで短期集中連載している「『7つの習慣』セルフ・スタディ・ブック 基礎編」は読んでいただけただろうか。筆者は、プロテニスプレイヤーのアンディ・ロディック選手のエピソードを読んで、「うーむ、世の中には立派な人がいるものだ……」とうなってしまった。記事で読むまで筆者はこのロディック選手を知らなかったのだが、調べてみるとトーナメント当時、彼はまだ20代前半だったようだ。見習いたいものである。

 テニスにはあまり詳しくない筆者だが、サッカーはけっこう好きである。ロディック選手のエピソードを読んで思い出したのは、イングランドの往年の名選手、ゲーリー・リネカー氏のこと。ワールドカップで得点王まで獲得したリネカー氏だが、彼はフェアなプレイヤーとしても有名だった。13年間の現役生活中、レッドカードはおろか、イエローカードの1枚さえもらったことがなかったのである。

 現役生活の晩年には、日本の名古屋グランパスエイトでプレイしていたリネカー氏。最も筆者の印象に残っているのは、ゴールシーンでも華麗なパスでもなく、リネカー氏がオフサイドを取られたシーンのことだ。彼は線審がオフサイドフラッグを上げる前に、自分から手を挙げて、オフサイドを自己申告したのである。

 当時小学生だった筆者は、「おいおいリネカー、フェアすぎるだろ!」なんて思っていたわけだが、大人になった今なら分かる。リネカー氏が意識していたにしろ、していなかったにしろ、あの「自己申告」は審判のその後のジャッジに大きな影響をもたらしたであろうことを。

 リネカー氏が、ファールでもおかしくないようなプレイをしたとする。「彼はファールを犯したら自分から申告するような選手だ。さっきのプレイはファールかどうか疑わしいところだが、おそらく故意ではないだろう」――審判が判断に迷ったとき、そんな風に思い巡らせても決しておかしくはない。

 もちろん筆者は、リネカー氏が打算的にオフサイドを自己申告したわけではないと思う。しかし、1つの小さな失敗(=オフサイド)の告白で、リネカー氏がその後どれだけのメリットを得たのか――そんなことを考えてみるのもまた面白い。

 失敗に落ち込むのではなく、その失敗を最大限利用して大きな成功を買う――。これも立派な成功への近道。さらに言うならば、小さな失敗ではなく、大きな成功がかかった場面(=トーナメント決勝のマッチポイント)でも自己の流儀を貫き通したロディック選手の偉大さに、改めて感じ入る筆者であった(今回は珍しくマジメにキメてみました!)。

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