出張ツールは“ユニット化”(後編)文具王の「B-Hacks!」

出張の内容に合わせて持ち物をユニット化する方法の後編。これまで音響、映像、実演、スーツ、着替え、身支度――と各種ユニットを説明したが、最後に展示会や倉庫での作業に便利な3つのユニットを紹介する。

» 2009年05月21日 14時00分 公開
[高畑正幸,Business Media 誠]

 出張の内容に合わせて持ち物をユニット化する方法をご紹介してきた。これまで、音響、映像、実演スーツ、着替え、身支度と各種ユニットを説明したが、最後に3つのユニットを紹介したい。

  • 展示会設営キット
  • 展示会実演キット
  • 倉庫作業キット

ガムテープやガンタッカー、カッターナイフなど――展示会設営キット

展示会設営キット

 これは用途が明確な場合の工具箱。私の会社(サンスター文具)が出展する展示会の多くでは、自分たちである程度設営することも多い。

 ただ現場では、両面テープとかテグスとか、そういうちょっとしたものがないだけで作業がストップしたり、買いに走ったりと、些細(ささい)なことで作業効率が悪くなる。また、そういうあれこれの道具は、日常作業で使用するものと共有してしまうと、いちいち出動前に集めたり、選んだりすることになり、面倒だし、忘れ物の原因にもなる。なので作業ごとにこうした工具箱を用意し、その箱用に道具を入れておく。

 この工具箱は、搬入時にほかの荷物と一緒に運んでもらうが、設営の際は、最初に取り出す必要のあるものだ。そのため、箱が目立つ色なのも実は重要なポイント。


チャンスを逃さない展示会実演キット

 前々回に紹介した実演ユニットは、1人で行う小規模な場合などに備えた物だが、こちらは、会社で出展する展示会などに使用するもの。実演台の下などに用意しておくとなにかと便利だ。

 中には、実演ユニットと同じく実演に使用する文房具のほか、コピー用紙などの消耗品類が大量に入っている。電池や小道具類も入れておく。前々回の実演ユニットは自分の実演内容に合わせてセレクトしたものだけで良いが、展示会実演キットは、会社の新製品はもとより、ある程度幅広く現行品の説明ができるように準備してある。

 展示会場などでは、求められたものがその場で説明できないとチャンスを逃す。可能な範囲で多くの製品とそれが試せる備品を用意しておく。

展示会実演キット

手袋、マッキ−、認め印、電卓、筆記具――倉庫作業キット

倉庫作業キット

 こちらは、倉庫での棚卸しや出荷作業などで使用する。

 倉庫作業で手袋は重要。怪我を防ぎ、作業を楽にしてくれる。倉庫によっては軍手を貸し出してくれるが、私は絶対に自前だ。これはホームセンターで購入した物だが、自分の手のサイズにピッタリあったものは、細かいものもつかみやすい。

 また、滑り止め加工のされている手袋は、段ボールの側面やフタを手でつかんで持ち上げる際なども圧倒的に楽だ。箱を左右から押さえたり、フチの部分を手でつかんだりするのに、滑る段ボールを無駄に押さえつける必要がなく、持ち上げる力だけですむ。これだけでだいぶ疲労が軽減する。

 マッキー極太は、普段使いには太すぎるかもしれないが、段ボールに文字を書くには最適の太さ。少し離れた薄暗い倉庫でもハッキリ文字が読める。これ重要。

 電卓や認め印、筆記具などは、棚卸しなどには必須。写真に写っている電卓は今ひとつお気に入りではないが、たまたま使わない物として手元にあったのでとにかくセットに入れっぱなしにしている。

 筆記具は、棚卸しの際に書き直しなどが発生するので、シャープペンを使う。手袋をはめた状態でもちゃんと持てて、疲れないことが重要なので、私はドクターグリップを使用しているがこのあたりは好みだろう。



 いろいろ紹介してきたが、重要なのは、「作業に合わせて必要なものは異なるし、それに合わせた準備をコンパクトにまとめて用意しておくと、いちいち考えなくてすむので良いですよ」――ということ。

 サンダーバード2号が出動するときに、災害地に合わせてコンテナを選ぶ方式と同じだ。あらかじめいくつかの災害を想定してメカをパッキングしてあるからこそ迅速な救助活動に向かえる。日常でもきちんと道具類を準備しておくと、突然の仕事や旅行などでもあわてずにすむのである。

著者紹介 高畑正幸(たかばたけ・まさゆき)

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 1974年、香川県生まれ。図画工作と理科が得意な小学生を20年続けて今に至る。TVチャンピオン「全国文房具通選手権」で3連覇中の文具王。現在は文具メーカーに勤務、文房具の企画開発を行っている。2006年「究極の文房具カタログ」上梓。文具サイト「TOWER-STATIONERY」を主催。


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