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今後、先進的なデジタルガジェットが登場していく中で、「失われた風習」というのも増えていくのだろう。個人的に「滅びてほしくないなあ」と思っているのは……。

» 2009年10月21日 19時10分 公開
[杉本吏,Business Media 誠]

 先週もっともアクセスを集めたのは「ダイソンのハンディクリーナーを使ってみた」。実はこれ、2006年に掲載した記事である。「3年も前の記事がなぜ?」と思われるかもしれないが、原因はこれ。ダイソンが先日発表した“羽根のない扇風機”が注目を浴びたことで、そのほかのダイソン関連記事にも関心が集まったようだ。

 件の扇風機を初めて見たとき、筆者はまず「これ、どんな仕組みなのよ?」と思った。次に「いくらなの? 300ドル? 気になるけど高いな……」と思った。さらに、「これじゃ羽根の前で『あ゛ー』ってできないじゃん」と思った。同じことを考えた人は多いようで、ITmedia Newsの記者は、「夏の風物詩(※)は今後どうなる?」という記事を書いていた。

※「あ゛ー」のこと

 今後、さらに先進的なデジタルガジェットが登場していく中で、こうした「失われた風習」というのも増えていくのだろう。以前にも書いたが、固定電話における「「○○さんいますか?」という会話もそうだ。携帯電話が普及したことで、ドラマの中で「男女が待ち合わせする場面でのすれ違いが描きにくくなった」なんて話も聞く。

 個人的に「滅びてほしくないなあ」と思っているのは、新品のノートを買った際に起こりがちな、「最初のページだけ異常にキレイに書いてしまう現象」。2015年が舞台のアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」では、中学校に通う主人公たちは、紙のノートではなくPC(のようなもの)を使いながら授業を受けていた。彼らは「おれ最初のページだけはタイポがないんだよねー」とか話しているのだろうか。いや、そもそもページという概念さえなくなっているのか……。

 ペンの書き味やノートの紙質にこだわる人は多いし、手書き文化が完全になくなるなんて風には思わないが、それでも徐々にデジタルメモが主流になっていくことは疑いようがないだろう。便利になるのはよいことなのだけれど、自分が知っていた文化が失われていくのって、やっぱりなんだかノスタルジーを感じてしまうんですよねえ。

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