小学生の学習法「辞書引き学習」をiPod touchで試してみたいと思ったところ、あいにく既存アプリに自分の引きたい辞書が見当たりません。そこで、辞書アプリを自作してみることにしました。
最近「大辞林」などiPhone/iPod touchの辞書アプリが人気です。アナログの世界でも、辞書の活用に新しい潮流があります。「辞書引き学習」という小学生の学習法で、言葉を調べる度に、辞書に付せんを貼っていくというものです。大量の付せんを貼った辞書は、もはや辞書本来の直方体の形とは異なり、独特の膨れた形になっていきます。「知識の獲得が付せんの量として見える」というのはゲーム感覚もあり、楽しく学習できるようで、この活用法は注目されています。
この学習法をiPod touchでも試してみたいと思っていたのですが、あいにく既存のアプリに、自分の引きたい辞書がありません。そこで、自分でiPod touchに辞書を取り込んでみようと思い立ち、さっそくチャレンジしてみました。
用途アイデア名 | iPod touchで大人の付せん辞書学習法 |
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3つの効果 | 1. 知識の獲得の量が可視化でき、動機づけられる 2. 獲得した知識をいつでも正確に引き出せる 3. ちょっとした空き時間が、ウエルカムになる |
必要な道具 | ADF(原稿自動送り装置)スキャナ、自分の学びたい分野の辞書、裁断機 |
裁断機とはいきなりハードルが高いですが、文具王も言っているように書類の加工やデジタル化には便利。この際購入してもいいかもしれません。それにしてもあんまり量が多いとつらいので目安としては、500ページ以下のものがいいでしょう。辞書でなくてもかまいません。一気に読み通せないけれど、ちょっとずつ勉強したい専門分野の教科書的なものもオススメです。
紙が薄いタイプの辞書はよくジャム(紙詰まりが起こ)ります。その場合は、かなり手間とお金はかかりますが、全ページをコピーしてスキャンするか、フラットベッドスキャナで読み込みます。
Adobe Acrobatの書類分割機能で、一気に分割。分割前に「前書き」や「目次」は外しておきましょう。こうすると、「生成されるファイルのナンバー=ページ数」となり、後で見たいページを探す時に重宝します。「前書き」や「目次」は、生成されるファイルのナンバーの頭に来るようにファイルネームを工夫します。図表など見開き2ページで構成されることが多い紙面の場合は、2ページずつに分割する方がいいでしょう。
分割ファイルページをもっと多くすることも可能ですが、あまりオススメしません。ページを増やすと、「ファイルを開く」「拡大操作やスクロール」がかなりもたつきます。ページの端の方を読んでいると、不意にページがめくられてしまい、どこを読んでいるのか見失い、ストレスになってしまいます。
これで、すべてのページを、iPod touchから確認できます。適当にページをめくるようにファイルを開き、面白そうだと思った用語を読んでいきます。
押すと、☆のボタン(Favorites)のカテゴリにコピーされます。オフラインでも開けるようになります。
Favoritesにファイルがたまっていく視覚的な達成感は、かなり動機づけられます。また読み切れていないページも、閉じる前に☆ボタンを押します。すると、電車での移動などでアーカイブした最後のファイルを開き、読み途中だったものを継続して学べます。
通常、専門書は大きく重たいため、常にバッグに入れておいて気が向いたら読む、というスタイルの読み方がなかなかできません。しかし、この方法であれば、スキマ時間で読むことができます。
筆者は、アイデア発想の観点から「認知心理学」に興味があり、最近その「事典」を少しずつ読んでいます。読み物としても事典は面白いのですが、重たくて出先で読み進めることができず困っていました。スキャンの手間がかかること、文章を開く際にもたつくことの2点は難点ですが、辞書は一行の文字数が少なく、iPod touchの画面でも十分に読みやすいので高評価をつけました。
専門用語は「一度読んで分かったけど、しばらくしたらうろ覚えになってしまった」ということがあります。「読んだことのある知識が確実に手元にある」というのはとても心強いものです。ちなみに、寝る前に読む本としても興味ある専門分野の辞書は最適です。翌朝、さまざまなアイデアが浮かんだりします。
次回は、運動が続かないものぐさな人にオススメの、iPod touchを使って体を動かす方法をご紹介します。
アイデアプラント代表。1973年生まれ、東北大学大学院卒。創造性育成ツール開発プロジェクトではリーダを務め、そこから誕生したブレインストーミング学習教材『ブレスター』は、みやぎものづくり大賞で、優秀賞を受賞。アイデア創出のプロセスを研究し、創造力を補佐する道具の開発と、アイデア・ワークショップを行っている。著書に『アイデア・スイッチ』など。
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