元気のない自分にアドバイス――やる気リカバリー動画を自作する：iPod touchだってできるもん（3/3 ページ）

[石井力重，Business Media 誠]

別のルーレットもあります

　このルーレットにのせるコンテンツは、気持ちリカバーだけの方法に限りません。

　「罰ゲーム」のリストを作って、余興のためのルーレットにしてもいいでしょう。ぎりぎり狙って止められる速さなので、止める人は目を閉じてタップしてもらいます。その場合は、別の人が画面の端を押さえておいて、停止ボタンがずっと消えないようにしてください。

　筆者のチームが開発したブレスター（ブレインストーミングを学ぶカードゲーム型教材）の中に入っている、罰ゲーム集から20個を選んで「罰ゲーム・ルーレット」にしてみました。研修の場で使う道具ですので罰ゲームも、教育の場や会議のブレイク用にでも、適するような内容になっています。

　もう1つは「作り話」ルーレットです。筆者のチームで「プロットを作る」という作業を促進するための道具を作る機会があり、その時に「古今東西の話に見られる出来事のパターン」を集めたことがあります。そのパターンを、今回ルーレットのコンテンツにしてみました。ブレストの余興として、空想ストーリ・リレーの道具として、次のように使ってみてください。

• 1. リーダが、ちょっとした空想ストーリーの“出だし”をしゃべる。そして「すると次のようなことが起こりました」と言って、2番目の人にふる。
• 2. 2番目の人はルーレットを回して、「えいっ」と止める。そこに書かれている「単語、もしくは短文」を話の展開として、すぐに作り話をする。

　ここには、出来事、ある種の人、意味概念など、レイヤーの違う（しかし、話の展開パターンとしてよく見られる）要素がありますので、解釈にかなり幅があります。

• 3. なんとか話をつむぎだし「すると次のようなことが起こりました」と言って、3番目の人にルーレットを渡す。

　これは、優れたリーダーたちが行っているという「与えられた主題に対して突然しゃべる」というブレストの準備体操を、再現するために設計したワークです。話の展開パターンがなくても行えますが、制限があった方がゲーム性があって盛り上がるでしょう。

おまけ

　この連載では、iPod touchの無料アプリ（できるだけ標準）でできるアイデアを紹介してきました。最後におまけとして、筆者がお気に入りのアプリ（有料アプリも含む）を9つほど紹介します。

アプリ	概要
TonePad	ヤマハの「TENORI-ON」（16×16個のLEDボタンを使って視覚的、聴覚的に作曲・演奏できる）のような、面白い体験ができます。徐々に点を増やしていくとリズムができてきて高揚します。
Jazz Sculptor	指で木像を削り出すアプリです。造形に没頭して、無心になれます。
PHYZIOS std	ゴムとか水とか壁を空間に出現させて、動いていく様子は知育玩具に似たワクワク感があります。
RIDE YAMAHA	完全に筆者の好み。スロットをひねってエンジンふかせるだけですが、かつてバイクのりだった人には、つぼかもしれません。個人的には「V-MAX」をお願いしたいところ。
プレゼンタイマー	1ベル、2ベル、3ベルを設定できるプレゼン用予鈴。講師のお仕事や、1人プレゼン練習でもかなり重宝します。
Stop It！Free	5秒ピッタリで止めるゲーム。感覚が鋭くなりそうな楽しさがあります。
CoinToss	ピンとはじくとコイントスできます。交差点ごとに、表が出たら右に裏が出たら左にと決めて町を歩くと、知っている町でも通ったことのない場所や、入ったことのない店を発見できます。
Image Touch（有料）	発想トリガー・カードなどを、画面上でぐりぐりと直感的に選り分けられます。
IdeaPod（有料）	面白法人カヤックさんと共同開発した発想アプリ。ブレークスルーのパターン・カード（智慧カード）で1人ブレストをするための道具です。TRIZから割り出した、発想をしやすくするある傾向をシャッフル機能に入れています。

著者紹介：石井力重（いしい・りきえ）

　アイデアプラント代表。1973年生まれ、東北大学大学院卒。創造性育成ツール開発プロジェクトではリーダを務め、そこから誕生したブレインストーミング学習教材『ブレスター』は、みやぎものづくり大賞で、優秀賞を受賞。アイデア創出のプロセスを研究し、創造力を補佐する道具の開発と、アイデア・ワークショップを行っている。著書に『アイデア・スイッチ』など。