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» 2010年12月27日 18時45分 公開

全文公開! Ustream初出演、池上彰さんの仕事術(中編)Real Time Webな働き方(3/3 ページ)

[藤村能光,Business Media 誠]
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私は意見を言わない【59分40秒前後】

津田 今日は本当に楽しかったです。いろいろと勉強になりました。今(Twitterから)質問が来ました。池上さんの座右の銘はありますか?

池上 座右の銘ねえ、古めかしいですよね。

津田 ありがちな質問ですね。

池上 ローザ・ルクセンブルグってご存じですか? 彼女の言葉の中に「両側から燃え尽きるロウソクでありたい」――正式な表現は違うのですが、こういう主旨のことを言っているのですよ。片側からではなく、両側から燃え尽きるロウソク。格好良いなあと思ってですね。

津田 池上さん自身が意見をプッシュしていくよりは、本当の意味で仲介者になって分かりやすく争点を整理して、皆さんに考えてもらうきっかけを作るという立場になっているのですね。

池上 是非それをしたいと思っています。私は自分の意見は持っています。あ、もう10分延長OKということで、もう少しお話をしますが。

 私はニュースについていろんな意見を持っていますよ、でも(私は)それを言うべきではない。それはテレビを見ている目の前の人が判断することであって、その判断材料を与えよう。そのためになるべく自分の意見は出さないで、いろんな視点の情報を豊富に提供し、あとはみんなで考えてくださいという仕事がしたいと思っているのです。

 ただ人間ですから、中立公正ってそもそもあり得るのかという問題もありますし、自分のバイアスもありますよ。でも自分としては、なるべく意見やイデオロギーではなく、多くの人のことを伝えて、後はみなさんに判断してほしい。そういうスタンスでやっているということなんです。

 今はニュースのコメンテーターの仕事を一切お断りしています。ニュース番組ではコメンテーターではなくて解説をいたします、パネルディスカッションではパネリストではなくてコーディネーター、ファシリテーターをいたします。

津田 交通整理を行うということですね。

池上 それぞれの人が言いたいことをどんどん引き出して、みなさんにお伝えしたいなと思っています。

聞くべきことを聞く、それだけ【1時間2分23秒前後】

津田 選挙特番も面白く見させていただいたのですが、コーディネートやファシリテートをする時に、身も蓋もない話でずばっと切り込んで、質問された政治家が鳩が豆鉄砲をくらったような、今までのメディアの文法とは違うカタチですごくシンプルにツッコミをされたことが、見る人にとっても新鮮でした。だから池上さんの選挙特番が良かったよという人も多かったんですけど。ずばっと切り込む時のコツ、言葉の選び方で気を付けていることは何かありますか?

池上 聞くべきことをきちんと聞く――。これはジャーナリストとしての基礎基本ですから。それは選挙特番であっても(同じです)。他局のことをあまり言いたくはないですけど、タレントさんが出ておめでとうございますというやり取りをしていると、それはなれあいであろうと。

津田 視聴者が見たいものを考えた結果があの質問であって、それが結果的に評判につながったというシンプルな話ということですね。

池上 柔道を一生懸命やっていた人が国政選挙にでるんだ。じゃあ柔道の試合と国会が重なったらどっちを優先するのって、これは当然聞くべきことです。だから聞いただけにすぎないし、そこで国会を一生懸命やろうとしているのであれば、参議院になるとそれぞれの議員はどこかの委員会の所属するんですよ。そうすると、きっとどこの委員会に所属したいかを当然考えているであろうと。

津田 当たり前のことだと。

池上 それを聞けばこの人は本当にあらかじめ政治を勉強しているかどうかが分かるなと。そこで「どこの委員会に所属しますか?」と聞いたら、それは間違いになるのです。新人の議員は、どこそこの委員会に所属したいといっても、先輩がいるからだめになることがあります。なので私の聞き方としてあの時は「どこの委員会に所属したいと考えていますか? 希望していますか?」と聞いたのです。するときちんとしたお答えがなかったのですね。

 すると(テレビを)見ている人は、どうも政治を優先するとおっしゃっていますけど、考え方が甘いんじゃないのということがお分かりになる。私は追求はしません。質問をしただけなのです。それを見れば視聴者は答えが分かるのです。

津田 最初に、小学5年生に分かるこどもニュースをやられていた経験から、視聴者が聞きたいものは何なんだろうということが念頭にあるからこその質問なのですね。

池上 アジェンダ、アジェンダっていうけど、そもそもアジェンダって何よ。この素朴な誰も質問を投げ掛けていなかっただけのことですよね。

津田 そういう意味で言うと、質問力を鍛えるには、物事を伝える先を考えることなんでしょうね。

池上 そうです。うまくまとまりましたね。うんと素朴な質問をきちんとぶつけることができるかということだと思います。

津田 こどもニュースを見ていると、すごい素朴な質問に「あっ」と気付かされることもありますね。

池上 それを大切にしていく、それを自分の中で持つことができるかも1つだと思うのです。

 次回に続く

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