料金の安さだけではなく、“お得感”も重要だ。公開日の4月23日には、公開初日スペシャルイベントを千葉県の幕張メッセで行った。本編の上映のみならず、出演声優の舞台挨拶や朗読劇、HoneyWorks楽曲のライブも行われた。チケットに付けた特典グッズは出演キャラクターのアクリルキーホルダー。ターゲット層が使いやすいものを、アニプレックスのグッズ開発チームと相談しながら決定した。
チケット代は6800円(税込)と、決して安くはない。しかし来場者からは「映画も見られて、ライブもあって、特典ももらえて、それであの値段はお得。元を取れた!」という反応が得られたのだという。
ライブも同時展開するこのようなイベントは、6月19日にも「大後夜祭」と称して東京国際フォーラムでも行われる。チケット代は5400円。中高生にとっては大きな出費だが、公開初日のイベントと同じく“映画もライブも楽しめるお得感”で満足してもらうことを目指す。
「ずっ好き」のようにターゲット層にピンポイントに届けることに成功するものもあれば、対象層に響かずに失敗するコンテンツや商品も多い。ターゲティングに失敗しないために必要不可欠なことは何なのだろう。
「大事なのは、自分たちが思い描いている“ターゲット”が本当に正しいのか疑うこと」
相川さんは当初、HoneyWorksのファンは“都会のど真ん中に住むクラスの中でも大人しめの中高生女子”だと思っていたのだそう。しかし実際は“郊外に住む、クラスの中心となっている中学生女子”が多いと分かった。
「都心の子はHoneyWorksを知っているかもしれないが、周辺に娯楽がたくさんあるので、ほかのコンテンツへの出費も多い。ネット発のコンテンツだと同時性があると思いがちだが、実は地域で差が相当ある」
ササっているのはどの年代なのか、どの地域で暮らしているのか、どんな人たちなのか――。徹底的にマーケティングするからこそ、届けたい層にリーチすることができるのだ。
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