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» 2018年10月29日 08時00分 公開

『Dr.スランプ』で「マシリト」と呼ばれた男・鳥嶋和彦の仕事哲学【中編】:『ジャンプ』伝説の編集長は『ドラゴンボール』をいかにして生み出したのか (6/6)

[今野大一,ITmedia]
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想像力を持てるか

――鳥嶋さんが会社の論理にとらわれずに働くことができたのは、他の社員とどんな違いがあったからなのでしょうか。

 僕はそもそも漫画が好きじゃないので、「ジャンプがすごい」「漫画がすごい」「何万部売ったのがすごい」といわれても、「全部ウソだ」と思っていたからだと思います。本当に漫画がすごいのか。違います。漫画がすごいのではなくて、子どもが支持する媒体で他に読むものがないから消去法で漫画を読んでいるだけなのです。そしてそもそも漫画を描いているのは編集者ではなく漫画家です。

 だから雑誌がすごいわけでも編集者がすごいわけでもないのです。そんなことは考えれば分かることです。そういうことを偉そうに言うこと自体が愚かなことです。想像力が足りないのです。

 そもそも僕は漫画がやりたくて会社に入ったわけではないのです。だから言いたいことを言った結果、漫画編集を外してもらえれば「ラッキー」くらいに思っていました。

――だからこそ言いたいことを言えたのかもしれませんね。

 資本主義なので数字さえ出せばいいんですよ。編集部の中で一番上は編集長かもしれませんが、それ以上の立役者はヒット作を担当している編集者です。作家を握っているのだから。編集長が事故にあったとしても、仮に異動になったとしても、雑誌は発行できます。でも作家がいなくなれば雑誌は出せません。最前線で結果を出す人間が最も尊いのです。

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――【前編】(こちらから)では、集英社に入社するまで漫画をほとんど読んだことがなく、『ジャンプ』が嫌いだった新入社員時代に、鳥嶋さんがいかにして読者アンケートで1位を取ったのか、その方法論を聞いています。

――【後編】(こちらから)では、鳥嶋さんの現在の漫画雑誌に対する思いや、白泉社社長として考える組織論、そして12月以降の社長退任後の展望についてお話しいただきます。お見逃しなく。

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