土肥: 現物を見ると、12本のサスペンションが並んでいる。確かに、ピカピカして輝いていますね。実際に使った選手からはどのような声がありますか?
北川: 「いい感じで、スクラムを組めている」といった声を聞きました。「やわらかいな」と感じたときには、サスペンションを1本増やしたり、「かたいな」と感じたときには、1本減らしたり。コンディションによって、調整しながら使っているようです。
土肥: フランスのスクラムマシンには、どのくらいのチカラが加わっているのかが分かる「計測器」を搭載しているんですよね。ヤマハ産のマシンにも付いているのでしょうか?
北川: いえ、まだです。ただ、使っている選手たちは「自分たちはどのくらいのチカラで押しているのか」を知りたいと思うんですよね。もちろん、数値を知ったからといって、すぐに強くなるわけではありません。ただ、私たちもランニングをしたときに、タイムが気になりますよね。「今日はこのタイムだった。昨日より少し速く走ることができた」といった具合に。
ラグビー選手も「いまのスクラムは、うまく組めたよね。どのくらいのチカラが出ていたのかな」といった感じで、数字を知りたいはず。というわけで、今年中に計測器を付けて、練習の参考にしてもらえればなあと。
土肥: 話は少し変わりますが、その昔、スクラムマシンを使った練習って、選手がひたすら押していましたよね。日が暮れるまで……いや、日が暮れても押していたような。いまの選手も一心不乱に押し続けているのでしょうか?
北川: 現在もそのような練習をしているところがあるかと思いますが、トップチームはしません。ジムで筋肉を鍛えて、確認作業をするためにスクラムを組むといった感じ。
スクラムの練習も、1日に10回ほど。昔は10回といえば、ウォーミングアップのような感じでしたけどね(苦笑)。何十回もスクラムを組んで、ラグビー選手としての体を鍛えていました。
ただ、いまの選手は筋力が付いているので、スクラムを何十回も行えばカラダを壊す可能性がある。カラダを壊さないためには、効率のいい練習をしなければいけません。それを実現するために、新しいスクラムマシンが必要になっているのではないでしょうか。
土肥: 本数でカラダを鍛えるのではなくて、少ない本数でいかにいいスクラムを組めるのかがポイントだと。会社では「働き方改革」や「生産性向上」がうたわれていますが、ラグビー界でも同じようなことが行われているようですね。
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