大使公邸で女性職員にキスをしたり、体を触るなどのセクハラ行為をしたとして、外務省の元駐イラン大使が強制わいせつ容疑で警視庁に刑事告訴されていたことが明らかになった。
民間企業では社外で上司と女性部下の2人だけで飲みに行くことを禁じている企業も多い。2018年4月に話題となった財務省事務次官の女性記者へのセクハラ発言といい、この国の高級官僚のハラスメントに対する自覚のなさには驚かざるを得ない。
そんな折、日本初のパワーハラスメント(パワハラ規制)やセクハラ規制の強化策を盛り込んだ法律が、今の通常国会で成立する見通しとなった。
実際にパワハラの被害は増えている。17年度のパワハラなどの「職場のいじめ・嫌がらせ」の相談件数は7万2000件。厚生労働省がまとめた「民事上の個別労働紛争の相談」の中でも前年度比1.6%増で6年連続トップとなっている。
昨年、不正融資問題で世間を騒がせたスルガ銀行内で「数字ができないなら、ビルから飛び降りろ」「お前の家族皆殺しにしてやる」という暴言が飛び交っていた(第三者委員会の報告書)。職場のパワハラが原因で精神障害に陥り、自殺に追い込まれるケースも少なくなかった。
エン・ジャパンの「ミドルに聞く『パワハラ』実態調査」(2019年2月20日)ではパワハラを受けたと答えた人が8割を超えている。どんなパワハラを受けたのか。最も多かったのは「精神的な攻撃(公の場での叱責・侮辱、脅迫)」(66%)、「過大な要求(不要・不可能な業務の強制、仕事の妨害)」(46%)、「人間関係からの切り離し(隔離、無視、仲間はずれ)」(36%)と続く。
実際の事例では「首をつかんで殴る、棒で叩(たた)くなどの暴力を振るわれた」(36歳男性)という身体的攻撃や、「自身の機嫌が悪いと、机を蹴ったり、人に向けて物を投げたり、圧力をかけてくる」(39歳男性)、「ほぼ毎日、夜中に私へのメールが長文で送られてくる。その中には解雇をほのめかすような記載もあった」(36歳女性)といった悪質なものが多い。
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