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「おまえの家族皆殺し」――“極限のパワハラ・セクハラ”にどう立ち向かうかブラック企業から自分を守れ!(2/5 ページ)

» 2019年05月28日 05時00分 公開
[溝上憲文ITmedia]

「3割以上が退職」という現実

 パワハラを受けたらどうしているのか。対処の仕方で最も多かったのは「退職した」の35%、次に「気にしないようにした」(33%)、「パワハラをしてくる人とは別の上司や先輩に相談した」(31%)の順だった。

 パワハラで退職する人が最も多いというのは深刻な事態だ。結局、加害者は何も罰せられず、被害者が泣き寝入りしているということだろう。

 これまで放置されてきたパワハラにようやく法的メスが入ることになる。今回の法規制は事業主にパワハラの防止措置を義務付けるもので、会社も本腰を入れざるを得なくなる。会社としては、パワハラ禁止を役員を含む全社員に周知し、パワハラを行った社員を厳正に処分することを就業規則に明記することが求められる。つまり、パワハラの事実が認められると懲戒処分、場合によっては解雇もあり得るということだ。

 また、パワハラが発生しても会社が相手にしてくれない場合は、都道府県労働局に援助を求めることができる。会社が労働局の助言・指導に応じない場合は是正勧告を出し、それでも従わない場合は会社名が世間に公表される。政府公認の「パワハラ企業」の烙印を押されると、人手不足の企業が多い中で致命的ともいえる打撃を受けることになるだろう。

 ところでそもそもパワハラとは何か。政府はこう定義している。

「(1)職場の優越的関係に基づいて、(2)業務の適正な範囲を超えて、(3)身体的もしくは精神的苦痛を与え、労働者の就業環境を害すること」

 この3つの要素を全て満たしていればパワハラとなる。優越的関係とは、上司と部下の関係だけではなく、同僚や部下からの集団による行為も入り、それに抵抗したり拒絶したりすることが困難なケースも該当する。

phot パワハラにどのように対処したか?(エン・ジャパンのWebサイトより)
phot 不正融資問題で世間を騒がせたスルガ銀行内では壮絶な暴言が飛び交っていた(以下、第三者委員会の報告書より)
phot 「数字ができないなら、ビルから飛び降りろ」
phot 「お前の家族皆殺しにしてやる」

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