――本書でも、鷹匠や時計職人など自分の興味や得意なことを突き詰めていった「脱サラ職人」たちに対する、溝口さんのリスペクトと愛情を感じます。一方で、最近は仮想通貨がらみの副業や起業が話題になることもあり、“虚業”と言えなくもないようなマネーゲームが脱サラの道としてもよく語られます。溝口さんは暴力団や半グレ(組に所属しないで犯罪・暴力を行う集団)取材の第一人者でもありますが、どう感じますか?
溝口: 古い言葉になってしまうかもしれませんが、やはり「汗して働く」労働と、「金によって金を生む」労働は違うんじゃないかと思います。
今は(会社組織でも)「株主である」ということが、従業員であることより偉いわけですよね。会社は自分の従業員、労働者を大事にすべきであって、株主なんかに金を割くなよと言いたいくらいです。ようするに、「金を持っているのがそんなに偉いのか」と。
そういった「金融資本の支配」が世の中を悪くしている面が相当あると思います。闇社会でもその影響はある程度出ていて、振り込め詐欺やビットコインによるインチキといった、「口先三寸で人をだます」金の稼ぎ方がはやっていますね。
僕は、金融資本が大事にされ過ぎだと思う。それよりも、ものづくりの仕事を一番にすべきです。もともと僕はそういう頭の人間ですから。(了)
暴力団取材の第一人者・溝口敦 「刺されてもペンを止めなかった男」が語る闇営業問題の本質
仮想通貨が新たなシノギに 溝口敦が斬る「3つの山口組」
絶滅危惧のウナギーー横行する“密漁・密輸”がもたらす「希望なき未来」
“ウナギ密漁”の実態を追う――「まるでルパン三世の逃走劇」
ウナギ業界の「異常」にイオン、岡山のベンチャーが立ち向かう理由
コロナ禍で志願者は月3000人 応募殺到のアイリスオーヤマ中途採用担当に聞く「こんな人材は採ってはいけない」
上場企業の「想定時給」ランキング、3位三井物産、2位三菱商事 8000円超えで「ぶっちぎり1位」になったのは?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング