「経営陣の交代・奪還劇」が招いた倒産 “反社”関与もささやかれたエステ企業の粉飾決算あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る(5)(4/4 ページ)

» 2019年08月14日 05時00分 公開
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競争激化のエステ業界 「地位争い」は自殺行為

 各所への支払いが滞り続け約半年の月日が流れたころ、一部の債権者が痺(しび)れを切らし法的措置に出る。これにより本社機能の継続が困難となり、10月に事務所を閉鎖、11月24日付で自己破産を申請、12月2日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。この一連の流れのなかで、前述のような粉飾決算の事実も明らかになったというわけである。

 近年、消費者がエステサロンに通うことが一般的になる一方で、業界間の競争が激しく事業継続の難しさがささやかれている。こうした業界環境を象徴するような倒産となった。

 「乗っ取り」とまでいわれた経営権の移譲から、新経営陣と旧経営陣の争いが巻き起こったビューティ・ソリューションズ。業績の悪化がそもそもの発端とはいえ、そんな状況では取引先や金融機関からの信用を失い、早々に立ち行かなくなることは自明の理だ。

 どのような状況でも地位争いに明け暮れ、事業をおざなりした企業が、復活することはあり得ないといっていいだろう。

著者プロフィール

帝国データバンク 情報部

1900年創業の民間信用調査会社。国内最大の企業情報データベースを保有。帝国データバンク情報部は、中小企業の倒産が相次いだ1964年、大蔵省銀行局からの倒産情報提供に応じるかたちで創設。情報誌「帝国ニュース」の発行、「全国企業倒産集計」などを発表している。 主著に『なぜ倒産』(日経BP社)『御社の寿命』(中央公論新社)『あの会社はこうして潰れた』(日経BP社)などがある。


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