コラム
» 2019年10月01日 05時00分 公開

「県民のため」と本当に言えるのか?:リニアを阻む静岡県が知られたくない「田代ダム」の不都合な真実 (3/4)

[河崎貴一,ITmedia]

「JR東海には敵対心丸出し」

 桜井県議は、平成30年12月の静岡県議会定例会(12月7日)で、田代ダムの水について川勝知事に質問をした。

 「知事は、JR東海には命の水と言われている大井川の水を一滴たりとも渡さないと言いながら、あの田代ダムから毎秒4.99t(が)東京電力の発電用として山梨県側に流れている。あの水はわれわれの命の水──大井川の水ではないのでしょうか」(カッコ内(が)は筆者補足)

 「その(田代ダムの)水には一切触れようとしない。同じ命の水なんです。JR東海には敵対心丸出し、東京電力には沈黙。これはどういうことでしょうか」

 田代ダムの水に関する質問には、川勝知事も難波喬司副知事も答えずじまい。交通基盤局長だけが、東京電力との交渉によって、大井川への放水量を増やした説明をするにとどまった。

 しかし、大井川への放水量が増えたのは、リニア中央新幹線の詳細が明らかになる前に、大井川流域市町長と石川知事(当時)が東京電力に対して、「水返せ運動」を行った結果なのだ。リニア中央新幹線の問題が起きた後で、川勝県政が放水量を増やしたわけではない。

 最近では、静岡県島田市の染谷絹代市長が、田代ダムから山梨県側へ流出している水について、JR東海から東京電力に働きかけて大井川へ戻すべきという主張をした。だが、リニア中央新幹線の工事が行われる大井川の上流部は、静岡県が管理している。従って、河川に関する許認可権は静岡県にあるので、JR東海に東京電力と掛け合うように言うのは、筋違いの話だ。

 そこで、静岡県広聴広報課に「JR東海に『最大毎秒2.0m3(t)』の減水を問題にしながら、田代ダムから導水して発電した水を山梨県側に『毎秒4.99m3(t)』もの水を放流することは問題ではないのでしょうか」と書面で質問状を送ったところ、次の回答が書面で返ってきた。

 「田代ダムでは、昭和3年より取水を開始しており、国土交通省の許可を受けて最大4.99m3/sの取水を行っています。発電取水による河川流量の減少について、県は、水利権更新の機会を捉え、ダムからの放流量を設定する取り組みを行っています。 

 平成15年2月に国、県、流域市町、発電事業者が参加する「大井川水利流量調整協議会」を設置し、取水に優先して確保すべき河川維持流量について合意し、平成17年度の水利権更新時には、季節に応じて毎秒0.43m3(t)/sから1.49m3(t)/sの水を、大井川へ流すことができました。

 平成27年度には、再度の水利権更新を迎え、協議会で議論を行い、河川維持流量を踏襲することを合意し、平成28年7月に水利権が更新されています」。


 山梨県側へ毎秒4.99tもの水を放流していることについて「問題か否か」を聞いたのだが、それに対しては明確には答えていない。

photo 筆者とITmedia ビジネスオンライン編集部連名で静岡県に送付した質問内容
photo 静岡県広聴広報課からの回答

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