コラム
» 2019年10月01日 05時00分 公開

「県民のため」と本当に言えるのか?:リニアを阻む静岡県が知られたくない「田代ダム」の不都合な真実 (4/4)

[河崎貴一,ITmedia]
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「田代ダム関連について質問しないでほしい」

 取材を進める中で、静岡県が、議員やメディア関係者に対して、県議会の場や記者会見場などで「田代ダム関連について質問しないでほしい」と依頼していたという情報を耳にしたため、そちらについても静岡県広聴広報課に書面で質問状を送ったところ「申し訳ありませんが、事実関係が確認できませんでした」という書面回答が返ってきた。少なくとも「そのような事実はございません」とは言い切っていない。

 リニア中央新幹線は、2027年に品川(東京)・名古屋間(285.6キロ)を最短40分で結び、早ければ37年には、品川・新大阪間(438キロ)を最短67分で結ぶ予定だ。

 この計画が実現すれば、首都圏・中京圏・近畿圏が通勤圏となって、日本人口の半数を超える約7000万人の巨大都市圏(スーパーメガリージョン)が誕生する。巨大都市圏は世界をリードする経済圏となり、経済効果は地方にも波及すると期待されている。

 東海道新幹線とリニア中央新幹線の東名阪を結ぶ大動脈輸送が二重系化できれば、予想される東海・東南海・南海の巨大地震や頻発する自然災害にも鉄道での輸送が確保しやすい。

 静岡県にとってもメリットがある。災害時には、東西両方向から救援しやすくなる。また、リニア中央新幹線が全通すれば、東名阪を高速・短時間で結ぶという「のぞみ」の役割がリニアへ移るため、ダイヤに余裕ができ、静岡県内の駅に停車する東海道新幹線の「ひかり」と「こだま」が増発される予定ともいう。県内停車の「ひかり」が1時間に1本から30分に1本になるだけでも、静岡県民にとって格段に便利になるだろう。

 川勝知事を筆頭とした静岡県がやっていることは、静岡県民の利益になっているのだろうか。冷静な議論を求めたい。

編集部より:今回の記事を「予告編」とし、筆者が現地で取材した結果や静岡県への書面取材の結果を、以降「静岡県知事の「リニア妨害」 県内からも不満噴出の衝撃【前編】」「後編」という形でより深く検証しています。

著者プロフィール

河崎貴一(かわさき たかかず)

サイエンスライター、ジャーナリスト。日本文藝家協会、日本ペンクラブ会員。科学、医学、歴史、ネット、PC、食のルポルタージュを多く執筆。著書に『インターネット犯罪』『日本のすごい食材』(ともに文春新書)、パソコン・ガイドブック『とことん使いこなそう!』シリーズほか多数。


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