(写真提供:ゲッティイメージズ)
今年もあっという間に終わった。数えてみたら、ITmedia ビジネスオンラインの連載だけでも、全部で69本の記事を書いたようだ。
その69本を俯瞰(ふかん)して見ると、2019年は、日本車の躍進の年だったと思う。特に小型車の基本性能の質的向上が目覚ましかった。軽自動車と共に国民の生活を支えるBセグメントやCセグメントの走る・曲がる・止まるが質的に向上すれば、普段普通に接するクルマの基準が上がる。ひいては、日本人全体が良いものを見分ける目を養うことができるようになるはずだ。そういう意味では、トヨタのカローラシリーズとマツダのMAZDA3/CX-30、発売カウントダウンのトヨタ・ヤリスの存在は大きい。
クルマ好きの間でよくいわれることの一つに、「1989年は日本車のビンテージイヤー」という言葉がある。トヨタ・セルシオ、日産スカイラインGT-R、ユーノス・ロードスター、一年遅れだがホンダNSXがデビューした。ちょっとツブが落ちてもいいなら発売順に、スバル・レガシィ(BC/BF)、日産フェアレディZ(Z32)、トヨタMR2(SW22)、こちらも一年遅れなら日産プリメーラ(P10)もあった。
後年評価されるとき、19年は89年に続く第2のビンテージイヤーとして記憶されるかもしれない。そんな話を気の合う同業者と忘年会に向かいながら話した。そういう印象を持っているのは筆者だけではないということだろう。
さて、今回は10位までのランキングに少しずつコメントを付けていこう。
マツダCX-30
CX-30は、MAZDA3とセットで企画された商品。スタイルとボディ剛性のためにリヤ回りの実用性を割り切ったMAZDA3に対して、立体駐車場対応を前提に、SUVらしいユーティリティを確保した実用向きモデルがCX-30だ。しかも、MAZDA3の試乗会で受けた指摘の対応が加えられており、マツダ得意の年次改良を早くも盛り込んだモデルといえる。特に、ディーゼルの初期応答の不自然さの解消と、時速50キロ付近での初期ロール速度のコントロールの向上を極めて短期間に仕上げて来たことには本当に賞賛を贈りたい。
- 大ヒットの予感 マツダCX-30
Mazda3をベースにしたSUV、CX-30。CX-3はクーペ型SUVでパーソナルユース、CX-30はファミリー層に向けた商品だ。大人4人をしっかり乗せ、ある程度のラゲッジ積載量を備えつつ、タワーパーキングに入れられるコンパクトSUVという、ラインアップ上の隙間を埋めた。
- Mazda3国内仕様試乗で判明した「ちょっと待った!」
マツダ3の国内仕様車に乗って、まさか期待を裏切られるとは露程も思っていなかった。変速ショックそのものを消そうとした結果、第7世代思想に遅れを取っている。SKYACTIV-D 1.8のアクセルも意図以上に加速を始めてしまう。それは全く人間中心ではない。この評価が変わるかどうかは、全てはSKYACTIV-X次第だ。
- マツダの決算 またもや下がった利益率の理由
売上高は増収だったが利益面の落ち込みが激しいマツダの決算。北米と中国市場の不振が響いた結果だ。今後に向けて、販売店改革とパワートレーンの刷新を進めるが、これが北米市場で実を結ぶかどうかが焦点となる。
- ヤリスとトヨタのとんでもない総合力
これまで、Bセグメントで何を買うかと聞かれたら、マツダ・デミオ(Mazda2)かスズキ・スイフトと答えてきたし、正直なところそれ以外は多少の差はあれど「止めておいたら?」という水準だった。しかしその中でもトヨタはどん尻を争う体たらくだったのだ。しかし、「もっといいクルマ」の掛け声の下、心を入れ替えたトヨタが本気で作ったTNGAになったヤリスは、出来のレベルが別物だ。
- 新型アクセラの驚愕すべき出来
マツダの新型Mazda3(アクセラ)に試乗した。ドアを開けて座った瞬間、そのただならぬシートに驚く。走り出してボディの硬さにびっくりする。前代未聞の感覚だった。もちろんプラスの意味である。
- EVへの誤解が拡散するのはなぜか?
EVがHVを抜き、HVを得意とする日本の自動車メーカーは後れを取る、という論調のニュースをよく見かけるようになった。ちょっと待ってほしい。価格が高いEVはそう簡単に大量に売れるものではないし、環境規制対応をEVだけでまかなうのも不可能だ。「守旧派のHVと革新派のEV」という単純な構図で見るのは、そろそろ止めたほうがいい。
- ダメなカローラと良いカローラ
旧型のカローラと、TNGAベースの新型カローラは月とすっぽんくらいに違う。2010年前後デビューのトヨタ車の出来はありていにいってひどい。新型カローラシリーズは、だいぶ素晴らしい。完璧とはいわないが相当に良い。先行して登場したカローラ・スポーツで感じた違和感はどのようになったのか。
- トヨタ ハイブリッド特許公開の真実
トヨタは、得意とするハイブリッド(HV)技術の特許(2万3740件)を無償で提供する。しかし、なぜ大事な特許を無償公開するのか? トヨタの狙いと、そしてどうしてトヨタが変わらなければいけなかったかと解説する。
- スバルはこれからもAWD+ターボ+ワゴン
スバルは東京モーターショーで新型レヴォーグを出品した。レヴォーグはそもそも日本国内マーケットを象徴するクルマである。スバルは、日本の自動車史を代表するザ・ワゴンとして、レヴォーグはGTワゴンという形を死守する覚悟に見える。
- マツダCX-30の発売と、SKYACTIV-X延期の真相
マツダ第7世代の2番バッター、CX-30が10月24日に国内発売となった。Mazda3のときもそうだが、このSKYACTIV-Xの遅れを、設計に問題があったとする記事をいくつか目にした。その真相を語ろう。そして、海外試乗時から大幅に改善されたCX-30について。
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