クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

2019年読まれた記事ランキング池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/7 ページ)

» 2019年12月30日 07時10分 公開
[池田直渡ITmedia]
(写真提供:ゲッティイメージズ)

 今年もあっという間に終わった。数えてみたら、ITmedia ビジネスオンラインの連載だけでも、全部で69本の記事を書いたようだ。

 その69本を俯瞰(ふかん)して見ると、2019年は、日本車の躍進の年だったと思う。特に小型車の基本性能の質的向上が目覚ましかった。軽自動車と共に国民の生活を支えるBセグメントやCセグメントの走る・曲がる・止まるが質的に向上すれば、普段普通に接するクルマの基準が上がる。ひいては、日本人全体が良いものを見分ける目を養うことができるようになるはずだ。そういう意味では、トヨタのカローラシリーズとマツダのMAZDA3/CX-30、発売カウントダウンのトヨタ・ヤリスの存在は大きい。

 クルマ好きの間でよくいわれることの一つに、「1989年は日本車のビンテージイヤー」という言葉がある。トヨタ・セルシオ、日産スカイラインGT-R、ユーノス・ロードスター、一年遅れだがホンダNSXがデビューした。ちょっとツブが落ちてもいいなら発売順に、スバル・レガシィ(BC/BF)、日産フェアレディZ(Z32)、トヨタMR2(SW22)、こちらも一年遅れなら日産プリメーラ(P10)もあった。

 後年評価されるとき、19年は89年に続く第2のビンテージイヤーとして記憶されるかもしれない。そんな話を気の合う同業者と忘年会に向かいながら話した。そういう印象を持っているのは筆者だけではないということだろう。

 さて、今回は10位までのランキングに少しずつコメントを付けていこう。

第1位:大ヒットの予感 マツダCX-30

マツダCX-30

 CX-30は、MAZDA3とセットで企画された商品。スタイルとボディ剛性のためにリヤ回りの実用性を割り切ったMAZDA3に対して、立体駐車場対応を前提に、SUVらしいユーティリティを確保した実用向きモデルがCX-30だ。しかも、MAZDA3の試乗会で受けた指摘の対応が加えられており、マツダ得意の年次改良を早くも盛り込んだモデルといえる。特に、ディーゼルの初期応答の不自然さの解消と、時速50キロ付近での初期ロール速度のコントロールの向上を極めて短期間に仕上げて来たことには本当に賞賛を贈りたい。

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