東京商工リサーチは、無作為に選出した全国の中小企業174社に新型コロナウイルスの影響についてヒアリングし、その結果を発表した。調査は2月28日に実施。地域や業種を問わず、各方面に深刻な影響が及んでいることが分かった。
新型コロナウイルスの影響を発生事象別に分類すると、最も高かったのは「サプライチェーンに支障」(39.0%)だった。ついで、「営業や生産活動、イベント中止に伴う受注・売上減」(同25.8%)、「国内消費不振」(同13.7%)、「インバウンド需要の低下」(同9.7%)と続いた。
製造業にとってサプライチェーンの寸断は深刻な状況だが、悪影響は建設・不動産にも及んでいる。調査では、「中国で建材生産がストップし、メーカーに発注しても入荷せず工事が遅延」(建設業)、「住宅部材の調達難で工事が完工できず、引き渡しができない案件が出ている。顧客との契約で損害金を支払う可能性も」(マンション開発)といったコメントが寄せられた。
「営業や生産活動、イベント中止に伴う受注・売上減」では、展示会の中止が相次いでいるために商談が進まず、機会損失を招いているとの声も複数挙がった。
物販や観光業など、外出抑制で消費マインドの冷え込みを懸念する声も多かったという。新型コロナウイルス関連で初めて経営破綻したのは、愛知県にある中国人客が中心の温泉旅館だった。その後も、飲食業、クルーズ船運営と、観光などで成り立っていた業種から倒産が出ている。
3月に入ってからも多数の人が集まる施設やイベントの中止もしくは延期、旅行や会合の自粛が相次いでいる。さらに、当面の外出自粛や全国の小中高校の一斉休校も継続中だ。
これらを踏まえ、東京商工リサーチは「インバウンド効果の消失に加え、国内の消費低迷のダブルパンチにつながる可能性も高まっている」と予測している。
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