――なるほど、日本のファンによる口コミが広がっていることに気が付いた段階で、草の根から盛り上げていく宣伝スタイルに、いち早く切り替えたわけですか。
私はこれまで実写映画や商業映画の仕事をやってきて、アニメを手掛けたのは今回が初めてだったので、日本のオタクビジネスの良い勉強になりました。
今回の日本でのヒットは、中国の映画業界人もビックリしています。中国の映画興行の場合は、最初の段階で人気がないと、すぐに公開を打ち切ってしまうんです。ところが今回は、ジワジワと人気が広がっていく形になりました。ファンが愛着を持って作品を成長させるという形は、将来的に中国のエンタメ業界にも広がるかもしれません。
それから、『羅小黒戦記』をインディペンデント系のミニシアターが上映してくれたのも、いい勉強になりました。そうしたミニシアターは劇場内のディスプレイを工夫するなど、自分たちならではの環境を作り上げています。そういった映画館にも感謝の気持ちを持って、これからもいろんな作品を提供できればと思っています。
――『羅小黒戦記』が日本でロングランヒットになった理由を、白金さんとしてはどのように考えていますか?
それはオリジナル性だと思います。日本の観客は、アニメだけでなく実写映画もそうですが、日本の作品をリメイクしたような作品を嫌います。日本のテレビドラマを韓国でリメイクして、それを日本に逆輸入しても、ほとんどヒットしないですよね。だって、そもそも元になった作品があるんですから。
それに対して『羅小黒戦記』の監督やスタッフは、日本のアニメのファンではあるけれど、自分たちのストーリーを作り上げています。日本のアニメと似ているようで、でもちょっと違う。そこはヒットのポイントになったかもしれないと思っています。
あとは、この作品が2D(手描き)のアニメだったことですね。ディズニーをはじめ、世界が3DCGのアニメを作っているときに、日本だけが昔ながらの2Dのアニメを作っています。だから『羅小黒戦記』が2Dのアニメだったのは、日本のアニメファンにとってうれしいポイントだったんじゃないかなと思います。
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