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「上司の監視が度を過ぎている」 急増する「リモハラ」とその対策ハラスメント専門研修講師が解説(2/6 ページ)

» 2020年09月23日 07時00分 公開
[企業実務]

・(1)パワハラに分類されるもの

 今年6月に義務化された通称「パワハラ防止法(労働施策総合推進法)」において、パワーハラスメントは、(1)職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、(2)業務上、必要かつ相当な範囲を超えた言動により、(3)労働者の就業環境を害すること、と定義されました。

 「職場」とは「労働者が働く場所」を指すため、自宅で働いているのであれば自宅が職場となります。

 リモートワークの環境では、パワーハラスメントがエスカレートしがちです。それは、(1)オフィスのように他の人の目がなく、誰にも止められないため、また、(2)チャットやメールを使うことが増えることで言葉がより陰湿になりやすいため、などによります。

 例えば、「どうせ、自粛で自宅にいるなら残業代要らないだろう」「自宅にいるからって、のろのろ仕事やってんじゃないよ! 徹夜して仕上げろ!」などの言葉は、明らかに仕事とプライベートの一線を超えたパワハラ発言です(図表2-1)。

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・(2)セクハラに分類されるもの

 セクシュアルハラスメントは、(1)職場で行われる行為で、(2)労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること、(3)性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること、と定義されています。

 リモートワークにおけるセクハラは陰湿な内容が多く、「自宅の部屋を見るのって、なんだか新鮮だね」と上司に言われて、気持ち悪い思いをしたという声を聞きました(図表2-2)。

 「自宅だから化粧してないの? 化粧したほうがいいんじゃない?」「そういう部屋にいつもいるんだね、後ろに飾っている写真を見せてよ」などのような職場として不適切な発言や、性的な要素が感じられる発言は、セクハラと捉えられても仕方がありません。

 例えば、「髪を切った?」と尋ねること自体はセクハラではありませんが、そこから「どうして髪を切ったの?」などプライベートに踏み込むような発言をするとセクハラと捉えられる可能性が高くなります。

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