まず、19年夏頃より複数回にわたって、Aさんは同僚社員に対する誹謗中傷や脅迫的な言動、頻繁なメール送信などによってトラブルを起こしており、被害者が「精神的に追い込まれた」との訴えを会社に行っていたことが判明している。結局これらのトラブルは、会社と上司が間に入る形で話し合い、Aさんが被害者に謝罪する形で収まったようだ。
Aさんは20年2月、群馬県高崎市内にある2拠点の所長として赴任した。これは、Aさん本人が「将来的には(所長の上位職である)エリアマネジャー(以下「AM」と表記)にキャリアアップしていきたい」という意向であったため、Aさんの上長がその意志をくんで就任させたものであった。当初報道にあった「所長として2つの事業所を担当させられ……」という文脈とはややニュアンスが異なってくる。
Aさんが赴任した拠点は、当時業績不振状態であったことから、Aさんも立て直しを託されたと感じ気合いが入り過ぎたのかもしれない。「強い意志で改革を進める」と宣言して業務にまい進していったそうだが、その進め方があまりに一方的であったようだ。中にはハラスメント的な言動・行動もあり、既存のスタッフは当初から困惑していた。具体的には、次のような証言があがってきている。
歴代の所長は赴任後、既存の体制は維持しつつ業務をスタートして、ある程度慣れたところで改善を提案、スタッフの意見も聴きながら順次変えていくという形をとっていたが、Aさんは赴任後すぐに多くのものごとを変えようとしたという。例えば事務所のオフィス家具の配置を変え、まだ使える備品も捨てて新たなものに買い替えた。既存スタッフからは「何の相談も声がけもなかった。一言くらい相談してくれてもいいのに」との証言もある。
また、これまでの所長は「拠点によっていろんなやり方があるから」という姿勢で、既存の仕事の進め方を尊重していたが、Aさんは「こうしてください」と一方的に命令するスタイルだったという。
例えば、利用客からの宅食発注締切は、会社側の公式アナウンスでは毎週「水曜日中」だが、Aさんはそれを「水曜午後3時まで。以降は変更キャンセルも一切不可」と決めてしまった。実際、新規受注した顧客において、なかなか連絡がとれず、ようやく午後3時過ぎに連絡がとれてキャンセルになった件に対して「時間を過ぎたからダメ」と一蹴し、スタッフが「まだ水曜中だからキャンセル不可とは伝えられない」と反論すると、Aさんはキャンセル分の弁当をスタッフに買い上げさせた。そのようなことが何度も発生していたという。
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