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ニトリも認める老舗メーカー 新社長が挑む「脱・大ヒット」と「全員野球」の哲学家電メーカー進化論(4/7 ページ)

» 2021年07月20日 07時00分 公開

独自性の高い製品の背景に、開発の速さと女性視点

 深野氏は、2012年にアテックスへ中途入社した。前職はニトリ。ニトリでは、アテックスと共同でマッサージチェアを開発。そのときにアテックスの開発力の高さを肌で感じ、現会長の原島徹氏に直談判して入社したという。

 「当時、ニトリでマッサージチェアを担当していて、自分も海外へ出向いて生産をお願いしていました。つまり当時のニトリには、アテックス製とニトリ製のマッサージチェアが売り場に並んでいたんです。ところが、販売実績を見るとアテックス製の方がたくさん売れたんです。このすごさを学びたいと、頭を下げてアテックスに入れてもらいました」(深野氏)

 当初の数年間、子会社でLED照明のプロジェクトを担当した後、アテックスへ戻り、商品部に配属される。そこで深野氏が改めて感じたのが、アテックスの製品開発の速さだ。

 アテックスでは、企画と開発、営業が同時に進行する。さらにルルドの製品では、同時平行で女性目線でのアイデアも加えられて行くため、競合他社には追いつけないスピードで製品が生まれて行くというわけだ。

 「入社前から、アテックスは製品作りが早いと感じていました。次から次へと新しいものが出てくるんです。マッサージクッションのヒット以降は、ターゲットである女性を意識し、カラー展開やデザイン工程を増やしましたが、それでもすごい速さで商品が開発されています。

 大手では、稟議や差し戻しなどで時間が掛かってしまうんですが、当社くらいの規模であれば、何か問題が発生してもすぐに修正できる。それが、開発期間を短縮できるポイントになっていると思います」(深野氏)

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