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ニトリも認める老舗メーカー 新社長が挑む「脱・大ヒット」と「全員野球」の哲学家電メーカー進化論(6/7 ページ)

» 2021年07月20日 07時00分 公開

ブランド認知の拡大と、海外展開も本格化

 現在アテックスが力を入れているのが、広告宣伝に頼らず、SNSなどを積極的に使ったユーザーへのアプローチだ。アテックスやルルド商品のファンを増やし、口コミを広めて行く。

 地道なSNS活動により、インスタグラムのフォロワー数は1万5000人、ツイッターは3万人にまで拡大した。さらには深野氏自らがアイテムを体験する自社YouTubeチャンネル『社長の深野がご説明いたします!【ルルドのアテックス公式】』もスタートした。

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深野氏自ら、製品を体験するYouTubeチャンネル。この動画ではシェイプアップボードを体験。チャンネルには、EMSシートやマッサージスツール、快眠マットなどを体験する動画が並ぶ。(出典:ルルドのアテックス公式)

 「弊社はいわば全員野球というか、社員全員が広告塔だと思っています。とはいえ、私が走らないと社員のみんなも走りづらいと思うので、まず私が先頭を走って、その姿を見せている段階です」(深野氏)

 そしてもう1つ力を入れているのが、ブランドの拡大だ。というのもマッサージクッションの発売から12年が経過している。その頃、ファンになってくれたユーザーも干支が1周してしまっている。このため、新たに若年層向けのブランドなども展開する必要があるという。

 「ブランドの3本柱はルルドと、アテックス、そしてトールです。しかしそれだけでは、接点のないお客様もいます。そこでルルドの姉妹ブランドとして、自宅で手軽にできるエクササイズ機器の「ルルドスタイル」や美顔器などを展開する「フェイスメイクシリーズ」、男性向けの「モノルルド」などを生み出し、ブランド自体を大きくするべく取り組んでいるところです。

 例えば弊社には、風が通るマットレス「快眠マット SOYO」という商品があるんですが、これが介護業界のお客様からの評判が良く、通販や大手スーパーなどで40万枚近く販売できました。こういったお客様に評価されるブランドをもっと深堀りして、より多くの方々へ届けたいと思っています」(深野氏)

風が通るマットレス「快眠マット SOYO」は、夏場の寝苦しさを解消する商品として生まれたが、結果的に介護業界からの高評価を得ることとなった

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