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ニトリも認める老舗メーカー 新社長が挑む「脱・大ヒット」と「全員野球」の哲学家電メーカー進化論(5/7 ページ)

» 2021年07月20日 07時00分 公開

ヒット商品への依存構造から脱却し、V字回復

 マッサージクッションを皮切りに、充電式のホットアイマスク「めめホット」や手専用のマッサージャー「ハンドケア」など、さまざまなヒット商品を生み出したルルドだが、業績面は順調だったわけではないという。大ヒットした一部の商品に依存する状態が続いていた。

 「私が商品部のトップに配属されたとき、会社の売り上げは良くありませんでした。ピークの4割ぐらいまで落ちていたんです。ピーク時もマッサージクッションなどの、いくつかの大ヒット商品が売り上げを支えていたので、同様の大ヒット商品を出せないと売り上げを伸ばせない状態でした。

 そこでルルド以外に、TOR(トール)などの新ブランドを立ち上げて、家電量販店への販促活動も行いました。さらに仲村トオルさんを起用したTV CMも打つなどの施策を実施して、売り上げを回復させました。

 ただその時点では、広告宣伝費をかなり増やしたので利益はほとんどありませんでした。そこからさらにブランドもアイテムも増やすことで、マッサージクッションのような大ヒット商品に頼らなくても、それぞれのブランド、それぞれの商品が売り上げを生み出せる、安定した収益構造に変えていきました」(深野氏)

 そして19年、会長から指名されて深野氏は社長に就任する。そのとき公約として提示したのが、会社のワンフロア化だ。企画、開発、営業がそれぞれ別のフロアにいると、それだけで情報は分断される。一番の強みである開発スピードを活かすためにも、情報を密にすることが欠かせなかったという。

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