新たなアセットクラスと見られるようになったきっかけは何か。一つはコロナ禍に伴う金融緩和によって過剰流動性が生まれ、法定通貨が世にあふれたことからインフレ懸念が台頭してきたことだ。一般的には、インフレに対抗できる資産として金(ゴールド)がいわれることが多いが、それに合わせて“デジタル”ゴールドでもあるビットコインに注目が集まった。
ビットコインを購入した企業の多くが、「インフレ下においては現金の価値は下落していき、それを防ぐためにビットコインを購入する」としている。「仮想通貨はデフレ構造なので、インフレヘッジ資産と見られた」(廣末氏)わけだ。
実際、インフレと連動してビットコイン価格が変化する様子も見られる。「向こう10年の平均インフレ率を示す、10年ものBEI(ブレイクイーブンインフレ率)が上昇するとビットコイン価格も追随」(長谷川氏)する様子が見られたという。
仮想通貨に対する認識の変化だけでなく、ユースケースの広がりがあったのも21年だ。
春頃からは、NFTに対する注目が一気に増大した。ブロックチェーンゲーム内の土地が1.6億円で売買されたり、NBA選手のトレーディングカードが240億円分購入されたり、NFTデジタルアート作品が75億円で落札されたり……。高まる注目の中、国内でもコインチェックはじめ、GMOなどがNFTのマーケットプレイスを開設するなど、投機でも決済でもない仮想通貨の使われ方として脚光を浴びた。
「仮想通貨に関心の無かった層が参入して、裾野が広がってきた。暗号資産が分かりやすくなったことが、新たな資金の流入につながった」と廣末氏は分析する。
9月には、中米エルサルバドルでビットコインが法定通貨化されたことも話題となった(記事参照)。米ドルと並ぶ形での導入だが、仮想通貨が法定通貨化されるのは世界で初めてだ。小国とはいえ、一つの国家がビットコインを認めたということであり、受け入れるのか禁止するのか、本格的に国家が無視できない存在になってきたことを感じさせる。
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