マツダの基本戦略は、30年にBEV25%、HEVなど75%である。すでにレアアースなどの原材料費の高騰が問題になっており、バッテリー価格が連動して高騰していくのが明らかな状況において、BEVの25%は相当に苦しい。極端なケースを考えれば採算度外視で売らなければならないこともあり得る。となれば、残りの75%を占める内燃機関+電動の領域で、その分の利益を稼がないと企業として立ちゆかなくなる。
マツダはHEV、PHEVをそれぞれ5車種、BEVを3車種の開発を計画している。さらに、さまざまな車格やボディタイプに対応したEV専用のプラットフォームも開発予定だ
マツダは、経済が底堅い北米マーケットを中心に高付加価値販売を進めようとしており、その中核にあるのが直6FRを主軸としたラージプラットフォームだ。このラージは48ボルトのマイルドハイブリッドの存在が発表されており、エンジンとミッションの間に挟み込む、かなり本格的なシステムになっている模様だ。これまでのISG型の簡易マイルドハイブリッドとどの程度の性能差があるのか興味深い。
加えて、スモール側には、ロータリー発電機を軸にしたxEV計画が存在する。BEVのバッテリーを減らして、ロータリー発電機を積めばシリーズ型PHEVになる。バッテリーをさらに減らして、充電機能を除けばシリーズ型HEVに、さらにその発電に使う燃料を水素にしたりバイオ燃料にしたりという再生可能燃料への対応まで組み込まれており、ようやく準備が整いつつある。
後は北米戦略のラージが上手く離陸してくれるかどうか。そこが大きな岐路になるだろう。何しろラージが支えなければBEVを売っていく体力が持たない恐れがあるのだ。
- 今年読まれた記事と、全力で止めたい超小型EV「C+pod」
2021年が終わろうとしている。筆者にとってはカーボンニュートラル戦争に明け暮れた1年だった。言うまでもないが2020年10月に菅前首相の所信表明演説で、突如50年カーボンニュートラル宣言が行われ、それと前後する形で「ガソリン車禁止論争」が吹き荒れた。
- EVの行く手に待ち受ける試練(前編)
電動化を進めようとすると、極めて高いハードルとしてそびえ立つのがバッテリーの調達である。バッテリーの調達に関しては、大きく分けて問題が2つある。ひとつはバッテリー生産のひっ迫、もうひとつはバッテリー原材料となる鉱物、とくにレアメタルの絶対的不足である。
- バッテリーEV以外の選択肢
バッテリーEV(BEV)やプラグインハイブリッド(PHV)などの「リチャージ系」は、自宅に充電設備がないともの凄く使いにくい。だから内燃機関はしぶとく残るし、ハイブリッド(HV)も然りだ。ただし、カーボンニュートラルにも目を配る必要はある。だから、それらを補う別のエネルギーを開発しようという機運はずっと前から盛り上がっている。
- 内燃機関から撤退? そんな説明でいいのかホンダ
ホンダは新目標を大きく2つに絞った。一つは「ホンダの二輪・四輪車が関与する交通事故死者ゼロ」であり、もう一つは「全製品、企業活動を通じたカーボンニュートラル」。そして何より素晴らしいのは、その年限を2050年と明確に定めたことだ。ホンダは得意の2モーターHVである「e:HEV」を含め、全ての内燃機関から完全卒業し、EVとFCV以外を生産しない、世界で最も環境適応の進んだ会社へと意思を持って進もうとしている。
- EV生産比率を5倍に増やすマツダと政府の“パワハラ”
マツダは、30年時点のEVの生産比率を25%と大幅に上方修正した。ではなぜマツダはそれだけEVの比率を大きく再発表したのかといえば、これは政府によるパワハラの疑いが濃厚である。
- 2021年乗って良かったクルマ
年末恒例の乗って良かったクルマだが、2021年の新型車のデビューは、マツダは1台もなし、スバルはBRZがあるけれども、来年のエントリーにしたい。もちろんGR86も同じ。スバルWRX S4は公道で乗っていない。結局は、トヨタのMIRAIとランドクルーザー、アクアとカローラクロスというトヨタ大会になってしまった。どれも数日以上借り出して、1000キロくらいは走ってきた。
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