クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

自動車メーカー8社のカーボンニュートラル戦略池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/8 ページ)

» 2022年01月01日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

BEV離陸までラージPFが頑張れるか? マツダ

 マツダの基本戦略は、30年にBEV25%、HEVなど75%である。すでにレアアースなどの原材料費の高騰が問題になっており、バッテリー価格が連動して高騰していくのが明らかな状況において、BEVの25%は相当に苦しい。極端なケースを考えれば採算度外視で売らなければならないこともあり得る。となれば、残りの75%を占める内燃機関+電動の領域で、その分の利益を稼がないと企業として立ちゆかなくなる。

マツダはHEV、PHEVをそれぞれ5車種、BEVを3車種の開発を計画している。さらに、さまざまな車格やボディタイプに対応したEV専用のプラットフォームも開発予定だ

 マツダは、経済が底堅い北米マーケットを中心に高付加価値販売を進めようとしており、その中核にあるのが直6FRを主軸としたラージプラットフォームだ。このラージは48ボルトのマイルドハイブリッドの存在が発表されており、エンジンとミッションの間に挟み込む、かなり本格的なシステムになっている模様だ。これまでのISG型の簡易マイルドハイブリッドとどの程度の性能差があるのか興味深い。

 加えて、スモール側には、ロータリー発電機を軸にしたxEV計画が存在する。BEVのバッテリーを減らして、ロータリー発電機を積めばシリーズ型PHEVになる。バッテリーをさらに減らして、充電機能を除けばシリーズ型HEVに、さらにその発電に使う燃料を水素にしたりバイオ燃料にしたりという再生可能燃料への対応まで組み込まれており、ようやく準備が整いつつある。

 後は北米戦略のラージが上手く離陸してくれるかどうか。そこが大きな岐路になるだろう。何しろラージが支えなければBEVを売っていく体力が持たない恐れがあるのだ。

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