クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

自動車メーカー8社のカーボンニュートラル戦略池田直渡「週刊モータージャーナル」(7/8 ページ)

» 2022年01月01日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

xEVマルチソリューションのスバル

 スバルもまたマツダ同様のxEV計画によるマルチソリューションである。BEVについてはトヨタと共同開発を行ったソルテラが発売を控えている。HEVについてはトヨタのTHS2を水平対向エンジンと組み合わせたシリーズ/パラレルハイブリッドをシステムとして発表している。

スバル初のSUV型EVソルテラ。トヨタの「bZ4X」と基本スペックは同じで、トヨタ工場で生産する

 この他に水平対向ユニットを使ったxEVシステムの拡張があるようだが、こちらの詳細はまだ分からない。しかしながらxEVを考えていくと、やはりシリーズ型ハイブリッドが現実的に思える。そうなると水平対向ユニットはコスト面でオーバークオリティな感じが否めない。ずっと以前に、いっそシリーズ前提で水平対向2気筒を作ったらどうなのか、スバルの幹部に尋ねたことがあるが、クランクのオフセット分を考えると、2気筒にしても大して小さくならないので、コンパクト化を狙うなら余り意味がないという答えだった。

 スバルについてはもう少し情報を開示してもらえると助かるのだが。

軽自動車BEVはいかに? 三菱

 三菱の直近の話題は、軽EVを22年度前半に発売するというニュースだろう。流石にこれはこれ以上の情報がない。強いていえば電池の調達が日産と共同という程度。しかしながら軽自動車BEVに関しては、価格と航続距離が分からないことにはコメントのしようがない。

 それなりの航続距離を持たせれば軽自動車が400万円ということにもなりかねない。流石にそんな商品は成立しないだろうから、あとはどこまで航続距離を削ってくるかだ。実走行で100キロ走ったら素晴らしいが、おそらくそれだと200万円を大幅に超え、300万円に限りなく近い額になってしまう。かといって航続距離50キロで200万円で成立するのかと言えば、それは相当厳しいだろう。

 本当は100キロで180万円くらいが成立するギリギリのラインだと思うが、現在のバッテリー価格ではそこへたどり付けるとも思えない。果たしてどういうバランスでデビューしてくるのだろうか?

 全体としては、アウトランダーPHEVの評価が高く、明るい話題ではあるのだが、ディーラーの食い扶持である軽自動車の生産が停止している件など、舵取りが相当難しい局面でもある。

 いまはまずアウトランダーに続く2台目のヒットモデルを生み出さないことには、その先につながらない。

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