クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

自動車メーカー8社のカーボンニュートラル戦略池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/8 ページ)

» 2022年01月01日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

意欲的だがバッテリーをどうするか 日産

 日産は11月に「Nissan Ambition 2030」として電動化に関するビジョンを発表した。

 全体の骨子としては、ハイブリッド車(HEV)を含む電動化を推進し、そのうちで可能な限りBEVの比率を高めていくという極めて妥当なプランであり、戦略としてはマルチソリューションということになる、

 日産自身によるサマリーを抜き出せば以下の通りである。

  • 今後5年間で約2兆円を投資し、電動化を加速
  • 30年度までに電気自動車15車種を含む23車種のワクワクする新型電動車を投入し、グローバルの電動車のモデルミックスを50%以上へ拡大
  • 全固体電池を28年度に市場投入

 順にコメントすれば、現在のグローバルなカーボンニュートラル戦争を見渡した時、投資額はトップグループにだいぶ水を空けられている。ただし、日産を巡る昨今の状況下で、これだけの投資を決めた評価としては、できる限りのことをやった最大値なのは容易に理解できるし、十分意欲的だと思う。

日産は全固体電池を使ったBEVのプラットフォーム構想も披露している

 30年度までの目標台数もまた、日産の現状に対して十分意欲的である。あとはこの15車種、あるいは23車種を何勝何敗で行けるかが、日産の浮沈を決める大勝負の場になるという理解でいいと思う。

 全固体電池については何の情報も開示されなかったので、分析も評価もしようがない。

 日産の最大の問題はバッテリー原材料の確保とバッテリーの生産に関して、説得力のある説明ができていないことで、これを理由に否定的に捉えれば、全部が絵空事といわれかねない。だからここはもう少し説得力のある説明をすべきだったと思う。否定的に捉えれば話は終了になってしまうので、これ以降は、その確保問題が解決することを前提に話を進めたい。

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