22年度の「THE ROYAL EXPRESS 〜HOKKAIDO CRUISE TRAIN〜」の発表会として、横浜〜伊豆高原間でデモ運行が行われた。車窓は横浜から伊豆だったけれども、車内は北海道仕様で、料理の試食、生演奏の披露などが行われた。水戸岡鋭治氏は「もうこのような列車はつくれないと思う」と語る。
理由は水戸岡氏と、調度品をつくる職人の高齢化だ。日本の伝統工芸は後継者不足で、次の注文には応えられないかもしれないという。その意味では、「ななつ星in九州」の車両リニューアルを実施したタイミングはベストだったかもしれない。
バイオリニストで「THE ROYAL EXPRESS」の音楽演出を担当する大迫淳英(JUN-EI)氏の生演奏が各車両を巡回する。列車の雑音が消え、微かなジョイント音と弦楽の響きが合う
「HOKKAIDO CRUISE」の試食メニュー。新鮮な海の幸と温かな料理が嬉しい。この料理は「割烹 うめ笹(北見市)」の梅田隆弘氏、「すし心 福籠(千歳市)」の福田竜大氏による。ほかに「日本料理 紀伊(釧路市)」の渡部伸雄氏、「Valore (美瑛町)」の才田誠氏。北海道の名店、名シェフがそろう
鉄道ファンとしては、伊豆から北海道へ回送する「THE ROYAL EXPRESS」に乗ってみたい。この区間を営業してもらえないだろうか。松田高広統括部長にお願いしてみた。「お気持ちは分かりますし、お問い合わせもいただきますが(笑)、難しいですねぇ。運行はJR貨物さんだし……」とのことだった。
いや、誰もができないと思った観光列車を実現したわけで、ぜひ取り組んでいただきたい……と思いつつ、そういえばベッドがないんだった。回送に便乗するだけではキツい。そうかといって、往路と復路も観光クルーズに仕立てるなんて確かに大変だ。
「THE ROYAL EXPRESS 〜HOKKAIDO CRUISE TRAIN〜」の今後の展開はどうなるだろう。毎年、回送列車を走らせるより、いっそ北海道内に観光車両を新製して東急が走らせるという展開も可能ではないか。
これについても「将来のことは分かりませんが、北海道でもまだ訪れていない地域があるので、次に組み込んでみたい。そして、この列車の運行で得た経験をほかの地域にも生かしたいと考えています。例えば、6月に実施するツアーで、しなの鉄道、富士急行、伊豆急行を乗り継ぐ『水戸岡鋭治氏がデザインした3つの観光列車で巡る新たな旅』なども企画しています」とのことだった。
記者発表会で登壇した東急 交通インフラ事業部 事業運営グループの松田高広統括部長(左)とドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治氏(右)
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