最近では内定後に、希望する配属部署に入るために会社に働きかける就活ならぬハイカツ(配属活動)をする学生も増えているという。前出の大学講師は「内定後にあらためてOG・OBを訪問し、会社でやりたい仕事を一生懸命にアピールしたり、人事の面談でも常にアピールしているようだ。配属先に関しては学生もピリピリしている」と語る。
しかし、一般的な日本企業は入社1カ月前にならないと具体的な配属先を教えるのが難しいのが実情だ。サービス業の人事部長は「4月の異動に向けて会社全体の配置を決める。まず部長など上位の役職者の異動・配置を決定し、その下の課長クラス、中堅クラスの順に決まっていく。新入社員が最後に決まるので入社1カ月前にならざるを得ない」と語る。
また、新人の配置について事務機器メーカーの人事課長は「最終的に人事部と各部署が折衝して割り当てる人数を決めることになるが、部署の中には『とても新人を育成する余裕がない、いらないよ』と言ってくるところもある。それでも『何とか面倒をみてほしい』と頼み込むが、最後は人事部の権限で有無を言わせず、引き受けてもらうが、ギリギリの交渉になることも多い」と語る。
そもそもなぜこういう仕組みになっているのか。まず、実際に新人を働かせてみないと適性が見極めにくいという問題がある。
日本企業は欧米のように職種別に採用するジョブ型雇用と違い、ノースキルの学生を「総合職」という名前で大量に採用する新卒一括採用方式をとる。入社後は研修や配属先でのOJT(職場内訓練)、さらには定期的な人事異動を通じて一人前に育成していくやり方が主流だ。そもそも何十人、何百人という新人を各部署に割り当てざるを得ない企業にとって希望する部署に配属するのは難しい。当然、「配属ガチャ」が発生する。
一方、企業側もキャリアや専門性志向の高まりを受けて、できるだけ希望部署に配属させたい意向はある。実際に配属部署を事前に明示する職種別採用を実施しているところもある。
ただし、職種別採用は入り口だけであって、これまでのケースを見ると、同じ配属先にとどまれる保証はなく、異動の可能性が高いのが現実だ。
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